銀行は、高度な規制を受けた特別許可の要る事業であり、金融監督管理委員会は、各銀行の分類に従い、各銀行が経営できる事項を許可し、営業許可に明記している。銀行は、各種の預金や貸付、外国為替等金融業務を行うことができるので、すべて銀行と取引する預金者や借入人の権益とかかわっており、国の金融秩序及び経済発展をも大いに影響している。銀行法第1条の冒頭では、「銀行の業務経営を全うし、預金者の権益保障及び産業の発展、銀行の信用性を国の金融政策に合わせるため、本法を定める。」と明確に規定されている。
銀行でない業者が預金と為替業務を営むことを禁止するため、銀行法第29条第1項では、「法律に別に定めるものがある場合を除き、銀行でない業者は、預金の受け入れ、信託資金や公産の管理・運用、または国内外の為替業務を行ってはならない。」と規定されている。この規定を違反した場合、銀行法第125条第1項に従い、3年以上10年以下有期懲役を処し、併せて新台湾ドル1000万元以上2億元以下の罰金を科すことができる。犯罪利得(犯罪で得た財物や財産上の利益)が新台湾ドル1億元以上達した者は、7年以上の有期懲役を処することもあり、併せて新台湾ドル2500万元以上5億元以下の罰金を科すことができる。
社会が激しい変遷しており、ビジネスモデルも金融商品も複雑になりつつある。この中、違法資金調達の勧誘手口も益々巧みになってしまう。法の抜け穴がないようにするため、銀行法第29条の1では、「借金や投資の受入れ、株主にさせること、またはその他の名義をもって、多数や不特定の人々から金員の受け入れもしくは資金調達を行い、本金と釣れ合わないボーナス、利息、配当金又はその他の報酬を約束・給付することは、預金の受け入れと見なす。」と規定されている。すなわち、行為者がボーナスや利息、配当金又はその他の類語等如何なる名義を使っても、呼び方は預金ではないが、多数や不特定の人々から金員を受け入れて、本金と釣れ合わない報酬を約束する場合、銀行法では、預金を受け入れる業務の経営として見なされることを指している。この行為は、法律に禁止されている。
上記銀行法のほか、多くの違法資金調達の手口は、連鎖販売取引の外観で行われている。多層次伝銷管理法(日本語:連鎖販売取引管理法)第18条によれば、連鎖販売取引事業の収入は、勧誘者が商品又は役務を合理的な市場価格で勧誘・販売することから構成しなければならず、他人の入会を勧誘することを主な収入のソースをしてはならない。したがって、連鎖販売取引の収入のソースが他人を紹介することである場合、刑事責任が問われるおそれがある。多層次伝銷管理法第29条によれば、上記行為の行為者に対し、7年以下の有期懲役を処し、併せて新台湾ドル1億元以下の罰金を科すことができる。また、法人の代表者、代理人、雇用職員又はその他の従業員が、業務執行の際に同規定に違反した場合、当該法人に対し、罰金を科すこともできる。
違法の資金調達は、往々にして華麗な話し方で行われる。例えば、会社の将来が有望であるか、収益爆発か、収益を保障できるか、他の上場会社に資金を提供して高額の利益が得られるか等を偽称し、投資者を誘惑し、騙す。このような欺罔、違法な資金調達行為は、刑法第339条の詐欺取財罪に該当している可能性もある
万が一、違法の資金調達に襲われる場合、刑事告訴を提出して、自らの権利を主張するほか、被害者は、民法第184条第2項に従い、加害者に対し不法行為の損害賠償を請求することができる。裁判例の見解によれば、銀行法第29条の趣旨としては、金融秩序の保護のみならず、預金を預けた者の権益の保障も含まれるので、銀行法に違反したことは、「他人を保護する法律に違反した」という民法第184条2項の条件に該当していると認められ、行為者には過失があったと推定することが可能である。
この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/legal/26600.html