米「海外腐敗行為防止法」(Foreign Corrupt Practices Act,略称FCPA)の目的は、外国政府、政党や官僚に対し不適切な利益を供与し、その行為や意思決定を影響することによって業務取得・維持を禁止することである。台湾の商社は海外において事業を経営するにあたり、違法を避けるため、遵法精神に対しリスク管理の意識を持つべきであろう。
FCPAの管轄範囲は広く、大体3種類に分けられている:1.証券の発行者(issuers):米国の全国性証券会社や店頭取引市場で取引している、かつ定期的にSECへ提出する公開発行の上場や店頭会社。米国の会社とは限らないが、米国でADRを発行する外国会社を含む。2.国内事業組織(domestic concerns):米国で設立されもしくは設立は米国ではないが、主な営業地は米国の会社、共同会社、商業信託、非法人団体もしくは合弁会社、独資会社など。3.前出の2種類以外の人が直接か間接に米国国内で、もしくは米国に関わる手段を通し、贈賄に資する行為を従事することもFCPAの管轄になる。例えば発信地か目的地が米国の国際電話、E-メール、メッセージやファックスを利用することや、米国を経由もしくは米国から米国の銀行への電信為替、もしくはコルレス先の銀行が米国に所在すれば全部この種類に入る。前出3種類の管理職員、取締役、職員、代理人もしくはその代わりに従事する株主も、FCPAに管轄される。
FCPAの趣旨は、業務を取得もしくは維持する(obtaining or retaining business)ための贈賄行為を禁止することである。例えば、政府の調達契約に落札、非公開の入札情報を取得、税金を減免してもらう、制裁や処罰を免れる、政府に働きかけ競争者の市場入りを阻害してもらう、ライセンスや許可取得のための要件を回避、政府の法執行に影響、特殊や例外待遇を取得するなどといった企業を不適切な競争地位に立たせる行動は、業務の取得や維持に有利させる。
違法の贈賄行為とは、金銭を提供、支払、支払いを承諾すること、または財物(anything of value)を提供、贈呈、供与を承諾もしくは授権することを指す。不適切な利益を供与する形式は多様的であり、よく見るのはお金を供与する(コンサルティング費用やコミッションを支払うという名目でかばうものも含む)ことで、それから旅行費用、観光費用、娯楽費用、クラブの会員費または高価な贅沢品を贈呈するなどである。FCPAは「不適切な利益」になる最低金額を決めつけていなく、FCPAも正当で正常な業務促進行為を禁止するつもりではないが、小金額を支払うこともしくは景品を贈呈することは、贈賄行為の手段または長期的に実施することの一部であれば、違法の恐れがある。
贈賄の対象は以下を含む:1.外国官僚:外国政府またはその部門、機関や機構。例えば公営事業、政府が設立した基金会。または政府の持ち株は過半数ではないが、当該機構の経営において重要な意思決定や人事に対し否決権を有する場合。またはIMF、WIPO、WTO、OECDなどの公共国際組織の官僚や職員、外国政府、部門、機関や機構を代表する公務員、公共国際組織を代表してことを処理する人。2.外国政党やその官僚、政党の立候補者。3.パイプ役。多くの企業は海外において、当地の個人か企業、もしくは政党、政治官僚の家族をパイプ役として利用する。企業自体が直接賄賂をするのではなく、第三者を通し間接的に賄賂するが、パイプ役に渡した金銭や財物は(全部か一部)直接か間接に外国政府や政党官僚へ提供、供与や承諾することを承知した上では、企業はFCPAの処罰を免れられない。
(この文章は2020年1月17日に工商時報のデジタル新聞「名家評論コラム」に登載されたものである。本文はその節録である。当該法規につきもっと詳しくお知りになりたければ、何なりと弊所までお問い合わせください。)