感染病流行中の使用者の解雇措置――最後手段原則の緩和可能性について

2020-04-24

現行法によれば、使用者は、労働者を解雇する場合、労働基準法第11条や同法第12条等法定事由に満たさなければならない。感染病の拡大によって、業績に影響を及ぼし、従業員を解雇する場合、具体事案において、労働基準法第11条第2号「損失があった又は業務が縮小したとき」、同第3号「不可抗力によって仕事が1が決

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現行法によれば、使用者は、労働者を解雇する場合、労働基準法第11条や同法第12条等法定事由に満たさなければならない。感染病の拡大によって、業績に影響を及ぼし、従業員を解雇する場合、具体事案において、労働基準法第11条第2号「損失があった又は業務が縮小したとき」、同第3号「不可抗力によって仕事が1が決以上中止したとき」等を根拠とすると考えられる。

労働者の継続雇用を保障するため、台湾の裁判例には、労働基準法第11条について、より厳格に解釈し、かつ、「最後手段原則」、すなわち、法定事由を満たせば解雇ができるのではなく、使用者は、解雇のほか、別の回避手段を有していない場合、労働者を解雇することができると解釈される。

しかし、感染病の流行が拡大している現在、上記の見解は、使用者に対し過大な制限が課されてしまうかと懸念している。例えば、裁判例には、「業務が縮小した」ことについては、「一定な期間に継続している」という見解が示される。ただし、今回、コロナウィルスの災禍において、極めて短期間に、世界中の市場に厳しい影響を及ぼしてしまう。取引や注文等も、極めて短期間に激しく減少している。そこで、「一定な期間に継続している」という見解は、具体的事案において調整する必要があろうと思われる。

また、厳格に「最後手段性」を要求する場合、使用者は、継続してコストを支出し、損失も継続して増加しているので、倒産になってしまう。この場合、より多く従業員の仕事が失い、より厳しい社会問題が生じるおそれがある。そこで、労働契約の保障は、一定程度の譲歩が可能かについて、具体的事案において検討、調整する必要があろうと思われる。

労働者の雇用を保障し、使用者の解雇濫用を防ぐため、台湾の裁判例は非常に力を発揮している。しかし、感染病の流行が拡大している現在、適切に検討、調整するかについて、今後、労働法実務の課題であろう。

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