「工商時報_名家評論コラム」:グーグルはなぜ各国から反トラスト法で調査されているのか

2020-10-28

近年世界の主要なマーケットは、グーグルを対象に多くの反トラスト調査を進めている。米司法省は、先日マーケット独占としてグーグルを提訴し、各界から注目を浴びている。本稿はグーグルが調査された背景を簡単に紹介したうえで、反トラスト法について一緒に考えていきたい。

作者

作者

蔡孟芩

近年世界の主要なマーケットは、グーグルを対象に多くの反トラスト調査を進めている。米司法省は、先日マーケット独占としてグーグルを提訴し、各界から注目を浴びている。本稿はグーグルが調査された背景を簡単に紹介したうえで、反トラスト法について一緒に考えていきたい。

「大きなものはもっと大きくなる」という技術的特徴

 10年前にグーグルで検索したても、欲しい情報は最初のページに現れなかったのに対し、最近では最初のページで見つかる。これはグーグルが大量の情報を蓄積し、技術を徐々に最適化してきた結果である。グーグルの使用者が多ければ多いほど、グーグルは検索結果の精度を高め、使用者に利便性を感じてもらえ、さらに多くの使用者を引き付け、好循環を形成してきたのである。技術的特徴から見ると、サーチエンジンマーケティングでは、「大きなものはもっと大きくなる」という潜在的傾向があるという。サーチエンジンマーケティングでの市場占有率が高くなることにより、グーグルはインターネット広告市場での市場占有率を向上させ、一層多額の広告収益が得られる。

United States v. Google

 グーグルがスマホやその他の携帯端末に自社検索エンジンの初期搭載を求めたために、スマホメーカー(アップルなど)及び通信会社(AT&Tなど)に巨額の費用を支払うことは、マーケットを独占するための違法行為であると米司法省が認めた。また、グーグルはアンドロイドシステムを保有し、アンドロイドにおいてGoogle Playというアプリストアを独占し、グーグルの検索エンジンをGoogle Playの検索エンジンに初期設定することも、マーケットを独占するための違法行為である。アメリカのシャーマン法第2条の独占を禁止するという趣旨からみると、グーグルが「優先表示」を購入する行為やグーグルを検索エンジンの初期設定にすること、検索エンジンの技術的特徴をまとめて判断し、米司法省はグーグルがマーケット独占の意図を有することが証明できると認めた。

 こうした指摘に対し、グーグルが、スマホメーカーと通信会社に支払った費用は、製造業者が販売業者に支払う「優先表示費用」のようなものであり、もっと「良い優先順位」をとるためであり、そのようなやり方は、消費者に対し、その他の検索エンジンを選択する自由に影響しないと強調した。

 以上の意見が対立している中、以下のようなデジタルマーケットの問題が炙り出された。それは:市場占有率の高い検索エンジン業者は、新たに参入してきた競合他社を妨害する可能性があるが、消費者の権益を害するか否かは、はっきりしていないのに、なぜグーグルに対し反トラスト法をもって制裁するのかというものである。

「大」企業は原罪?

 消費者がグーグルを愛用する理由は、グーグルの検索の品質を認めたからである。この点からみると、単純に「優先表示」を購入する行為が、その市場占有率を維持できないと思われる。そのために、米司法省は以下の事実を強調した。すなわち、グーグルが「優先表示」のためにスマホメーカーと通信会社に莫大な「優先表示費用」を支払い、それによってグーグルは一層多額広告の収入が得られ、新たに参入してきた競合他社より一番いい「優先表示」を購入できる。またインターネット広告市場とサーチエンジンマーケティングは連携関係がある。このような事実背景において、グーグルは「優先表示」を購入する行為が、サーチエンジンマーケティングで地位を長期的に保障でき、市場占有率を持続的に向上できるというものである。米司法省の法執行措置は、市場占有率の高い企業のビジネスにおける競争が行われ、市場占有率を確保しようとする場合、市場占有率の低い会社より、もっと厳しい規範により制限されるべきであるというメッセージの発信に見える。

 事実上、グーグルとほかの巨大IT企業がその規模をもって物議を醸したことは、欧州連合(EU)はグーグルの検索結果と価格比較サイトとの不公平競争についての調査や、フェイスブックの電子商取引に対する調査などからも見えてくる。こういった事例から分かるように、世界各国の競争法を管轄する主務官庁は、デジタル経済マーケットにおいて、「膨大な利用者を有する」IT業者に対し、競争法(独占禁止法)をもって利益を調整しようと試行している。このようなトレンドはマーケットのパイオニアであるIT業者にとって大きな挑戦になるだろう。このように巨大企業に成長すれば、企業同士の連携戦略が法執行機関をいらだたせる。同時にマーケットの新参者のチャンスにあり、競争法を活用して、伸びしろを勝ち取ることも考慮に入れるべきビジネスチャンスになろう。

この文章は「名家評論コラム」に掲載。

https://view.ctee.com.tw/economic/24149.html