米国ナスダック(NASDAQ)・ストック・マーケットの元会長マドフ氏が運営するヘッジ・ファンドは、ベアマーケット((Bear Market)においても、安定的なリターン(月に1〜2%)を保っているにもかかわらず、実は「ポンジ・スキーム」(Ponzi scheme)であった。マドフ氏が新規投資者の資金を既存の投資者の配当にあて、「安定的なリターン」を配り続けてきたが、結局リーマン・ショックでその巨大な詐欺は暴かれた。オフショア金融商品及びその販売会社に対しあまり知らなくプロでない投資家にとって、安定的なリターンの裏にその有り様であったが、高リターンを謳うオフショア・ファンドには何か罠があるかもしれない。
投資界で、資産管理会社や国際顧問会社がファンドプラットフォームと自称し、電話やインターネットを通しマーケティングし、普通より高い利回りを謳い、オフショア・ファンドやプライベートブランド(private brand)のファンドを勧誘することはよくある。それらのファンド販売業者は、時々説明会を開催し、投資者と直接に面会し、またはマルチ商法を使い、オフショア・ファンドを勧誘する。しかしながら、丁寧に作られたマニュアルや高い利回りなどの形で取り繕われたオフショア・ファンドに対し、投資者はそのオフショア・ファンドの違法募集を見落としてしまったのではないだろうか。
リスク1:幽霊会社、またはオフショア・ファンドを募集する資格がない
オフショア・ファンド販売業者は、いかなる国または地域においても登録しておらず、登録したとしても台湾におけるオフショア・ファンド販売業務の許可を受けないので、金融監督管理委員会に監督されていないかもしれない。そのため、そのマネージャーは、ファンドの資産を流用し、ファンド決算書を偽造し、偽りの利回りで投資者を騙す可能性がある。
リスク2:実際に注文していない、またはダミーのファンドである
違法なファンド販売業者は、実際に海外の資産管理会社に注文していなかったし、または売り出したプライベートブランドのファンドはダミーのファンドである。
リスク3:情報が不透明
違法なファンド販売業者は、合法的な販売業者のように定期的にファンド情報を公表することができないため、投資者は商品とリスクを正確に把握することができず、誤った投資決定をしてしまうことがある。また、情報の不透明、または販売業者が故意で情報を隠ぺいすることにより、投資者が負担すべき費用の名目及び計算基準をよく知らず、解約になってはじめ、高額な手数料やその他の費用が発生することが分かる。
リスク4:トラブルになると、法的手続きによる救済しかなく、長期化の虞
もし違法なファンド販売業者からオフショア・ファンドを購入した後、トラブルになった場合、投資者は証券関連法規により法的保護を受けることができず、契約に基づき、法的アプローチによって救済を求め、または警察に捜査起訴してもらうしかない。しかしながら、その場合には、捜査、起訴、判決などの手続きを経たなければならないので、急場に間に合わないかもしれない。
実は、台湾においてオフショア・ファンドを販売する際、主務官庁の許可を受ける必要がある。海外の金融機関も単一な総代理店を委託し、そのファンドの台湾における募集及び販売をさせなければならず、合法的なオフショア・ファンドの販売機構は、証券投信や投資顧問会社、証券ディーラー、銀行、信託業及びその他の主務官庁許可の機構に限る。ファンド販売業者が投資会社や財務・企業管理顧問会社、資産管理会社などの名目をもって経済部に合法に登録したとしても、金融監督管理委員会に許可されたオフショア・ファンドの販売業者でなければ、そのファンド販売は違法になる。したがって、投資者は先に会社の名称から、そのファンド販売業者の適法性を判断することができる。
また、投資者は、投資する際に、自分の権益を守るため、政府のオフショア・ファンド情報サイト(https://announce.fundclear.com.tw/MOPSFundWeb/)に、オフショア・ファンドの販売業者は合法的な販売機構であるか、投資したいファンドは登録されているかなどの基本情報をあらかじめ調べた方がよいと考えられる。
この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/monetary/25131.html