2021年3月16日から、いかなる米国人は、事前許可を得ない限り、中国、キューバ、ロシア又はベネズエラのいかなる「軍事情報最終用途(エンドユース)」又は「軍事情報最終使用者(エンドユーザー)」を支援(Support)してはならない。その「支援」とは、「輸出、再輸出又は移転」、並びに前述の各国の軍事情報最終用途又は軍事情報最終使用者に協力し又は有利にすると知りながら「いかなる契約、役務、雇用関係」を履行することを含む。
2020年4月末に続き、米商務省産業安全保障局は、2021年1月15日に再び最新版の暫定最終規則(the latest interim final rule of the Export Control Reform Act of 2018 or ECRA)を発布した。その目的は、特定の軍事最終用途及び最終使用者の輸出範囲に関する輸出規制条項(EAR)を実施することである。より厳しい輸出許可の義務をつけるとともに、最終使用者及び米国人(U.S. Persons、自然人と法人を含む)の特定のビジネス活動に対し更なる制限を行う。
米商務省産業安全保障局は、2021年3月16日から、いかなる米国人は、事前許可を得ない限り、中国、キューバ、ロシア又はベネズエラのいかなる「軍事情報最終用途」、又は「軍事情報最終使用者」を支援してはならないと公表した。その支援は、広い意味で「輸出、再輸出又は移転(米国国内を含む)」、並びに並びに前述の各国の軍事情報最終用途又は軍事情報最終使用者に協力し又は有利にすると知りながら「いかなる契約、役務、雇用関係」を履行することを含む。
また、注意すべきのは、EAR規制対象外のものに対し、大量破壊兵器(WMD)及びミサイルに関連する「支援」活動を提供する米国人に事前の許可を得ることを義務づけているとともに、「軍事情報最終用途」又は「軍事情報最終使用者」の定義も拡大する。
「軍事情報最終用途」とは、デザイン、研究開発、生産、使用、操作、取付(現場での組立を含む)、保守(点検)、補修、修理又はリニューアルする行為であり、米国武器リスト(USML)及び国際武器取引規則22 CFR第121号に列記されており、又はその目的が軍事情報最終使用者を支援する行為又は機能であり、「A018」で終わる輸出管理分類番号(ECCN)又は「600シリーズ」の品目を指す。「軍事情報最終使用者」とは、「武装部隊(陸軍、海軍、海兵隊、空軍又は沿岸警備隊を含む)」のいかなる情報機関、偵察機関又は国民衛兵隊を指す。軍事情報最終使用者は、以下の機関を含むがこれに限らない。
キューバ:軍事諜報局(DIM)、軍事反諜報局(CIM)。
中華人民共和国:中国人民解放軍総参謀部第二部(総参謀部情報部ともいう)。
イラン:イスラム革命防衛隊(IRGC–IO)、Artesh諜報局(J2)。
朝鮮:朝鮮人民軍総参謀部偵察局(RGB)
ロシア:ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)。
シリア:軍事諜報局。
ベネズエラ:軍事反諜報総局(DGCIM)。
実務上では、米国人が提供する全ての品目や活動(ハード、ソフト、技術又は技術データ)は、上記の機関を「支援」しないことを確保するため、その改定は米国人のデューデリジェンス義務を拡大した。また、当該改定は「2018年輸出管理改革法(ECRA)」におけるBIS義務に従い、EARの一部を改正した。その内容は以下の通りである。
1、中国、ロシア、ベネズエラ等に対し、「軍事情報最終用途」と「軍事情報最終使用者」に関する規制を保留すると同時に、「軍事情報最終用途」と「軍事情報最終使用者」の所有する物品に対し、より厳しい許可義務が付けられている(15 C.F.R.§744.21を参照)。
2、特定の生物化学兵器の製造材料に対する輸出制限を拡大する。
3、特定のEAR規制を適用する場合、「支援」の定義を拡大する。
4、米国人の活動に対する規制を強化し、米国原産の活動及び物品にかかわらないものをカバーする。
5、BISのリストにない特定の者と取引する時、BISは追加の許可義務を当事者に知らせることができる。
全体的に言えば、中国、ロシア、ベネズエラ等国、及びテロ組織支援国のいかなる外国軍事情報の最終用途と最終使用者の技術及び特定の活動を「支援」しうる米国国民に対し、一層厳しく規制をかける。改正後の条項は、米国人が無許可の大量破壊兵器(兵器の発射プログラム及び生産施設・工場を含む)を「支援」することを回避するため、規制措置を強化した。
上記の改定に基づき、米国と海外企業を問わず、「軍事情報最終使用者」の定義に合致するか、又は「軍事情報最終用途」を支援する取引先の有無を確認し、自社が法律に違反する可能性を評価すべきである。また、取引先との関係、及びビジネス利益のリスクを評価するため、影響されるかもしれない取引先との契約をできる限り再確認し、BISが輸出許可を与えない場合、契約を履行できない可能性の有無を確認する。米国籍又はグリーンカードを有し、しかも米国の「軍事情報最終用途」又は「軍事情報最終使用者」にかかわるビジネス活動や取引に携わる場合、米国政府に監視されていないか確認すべきである。。
この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/legal/27108.html