「工商時報_名家評論コラム」:「会社の利益のため、必要があると判断した場合」という「大義名分」で、株主総会を招集することは?

2021-03-12

証券取引法に従い、独立取締役の職権、責任は、会社法における監査役の規定を準用する。しかし、独立取締役と監査役との目的、及び両者が会社の運営における役割は、到底異なっている。独立取締役は、取締役会の構成員である以上、取締役会から離れ、独立性のある立場のもとで、「会社のために必要がある」と判断したうえ、

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証券取引法に従い、独立取締役の職権、責任は、会社法における監査役の規定を準用する。しかし、独立取締役と監査役との目的、及び両者が会社の運営における役割は、到底異なっている。独立取締役は、取締役会の構成員である以上、取締役会から離れ、独立性のある立場のもとで、「会社のために必要がある」と判断したうえ、株主総会を招集することは、難しい問題である。

最近の1年以来、上場や店頭公開企業の独立取締役は、しばしばニュースの焦点になった。太普高(3284)、国統(8936)、東林(3609)、聯光通(4903)、友訊(2332)、永大(1507)等社においては、独立取締役が自ら臨時株主総会を招集し、取締役の解任や全員改選のような議案が提案されるていた。そこで、独立取締役が株主総会を招集することの正当性が、注目されている。

独立取締役の株主総会招集権は、証券取引法第14条の4第3項、第4項を根拠とされている。これらの条項では、「会社法上、監査役に関する規定は、審計委員会に準用する。」と、「会社法第220条は、審計委員会のメンバーである独立取締役に準用する。」と規定されている。したがって、独立取締役は、「取締役会が株主総会を招集しなかった又は招集できなかった」とき、又は「会社の利益のため、必要があった」とき、会社法第220条に従い株主総会を招集し、株主総会の決議で会社の問題を解決することができる。しかしながら、どの状況では「会社の利益のため、必要があった」と認められるかについては、明確に規定されていないので、招集権者の客観的な招集事由によって、個別事案ごとに判断することになる。

今まで、監査役が会社法第220条に従い株主総会を招集したケースにおいて、裁判所は、「会社の利益のため必要がある」と認められる事案としては、例えば、取締役、監査役の任期が満了したものの改選しなかったので、監査役が株主総会を招集して取締役、監査役を改選したこと(最高裁判所109年度台上字第357号、同106年度台上字第86号民事判決)、監査役が監査権を行使したとき、取締役は会社の資産を高額の抵当権を設定して第三者の会社の債務を担保することが発見し、代表取締役に告知したものの、取締役会は積極的に処理せず、法的手段もを取らなかったので、臨時株主総会を招集して取締役、監査役を改選したこと(最高裁判所106年度台上字第2607号民事決定)、監査役は、取締役が株主総会の競業避止許可を取得せず、会社の主な業務と同じな業務を従事するとして、臨時株主総会を招集し、取締役の解任及び帰入権の行使等議案を提出すること議決した(最高裁判所108年度台上字第2092号民事決定)等である。前出の事例から、監査役が株主総会を招集する場合、確かに「大義名分」が必要とし、それにより、「会社の利益のために必要がある」という招集条件に合致している。

ただし、仮に監査役が招集要件に合致していない状況のもとで株主総会を招集する場合、裁判例は、「監査役は招集の必要がなかったものの株主総会を招集した場合と、招集権のない者が株主総会を招集したこととは異なっている。それは、単に株主総会の招集手続きが定款や法令に違反したが、権利者は裁判所に決議取り消し訴訟を提起できるかという問題である」とされている(最高裁判所88年度台上字第2886号、89年度台上字第425号判決)。したがって、たとえ監査役は必要のないときに株主総会を招集した場合でも、権利者が会社法第189条に従い、同株主総会の議決を取り消すことを裁判所に請求することがしかできない。しかし、裁判には時間がかかり、たとえ将来裁判所に同株主総会の議決を取り消すとしても、紛争は、即時に解決ことができず、かつ、訴訟の過程において、会社の運営に不利益をもたらすことも容易に想像することができる。

監査役の監査機能を働かせるため、会社法は、株主総会の招集権を含めて、色々な監査の権限を監査役に与えることとなる。独立取締役は、証券取引法を通じて、職権も責任も、会社法の監査役に関する規定を準用することとなる。。しかし、独立取締役と監査役との目的、及び両者が会社の運営における役割は、到底異なっている。独立取締役は、取締役会の構成員である以上、取締役会から離れ、独立性のある立場のもとで、「会社のために必要がある」と判断したうえ、株主総会を招集することは、難しい問題である。一方、会社法第23条、第224条に従い、監査役や独立取締役は職務を執行して法令や定款に違反し、会社に損害をもたらした場合、会社に損害賠償責任を負うべきである。そこで、監査役と独立取締役は、慎重に監査権を行使しなければならない。

実務上、監査役は、取締役会がすでに株主総会の招集日程を決定するため、取締役会を開催する予定ことを無視し、自らが株主総会の招集を強行したことに対し、裁判所は、当該株主総会の決議を取り消すよう判決した(台湾高等裁判所台中支所108年度上字第448号判決)。これによれば、監査権を行使するには制限買いがあり、監査役や独立取締役はこの点を留意しなければならない。また、今まで監査役や独立取締役が株主総会を招集した事例を検討すると、株主総会の招集には、常に大株主や取締役の「工作」があるように見える。監査役や独立取締役は、「会社の利益のため、必要のある場合」に株主総会を招集することは、経営権争奪戦の武器になってしまい、独立取締役の独立性も疑われる。監査役や独立取締役は、会社経営を監督するための独立機関として、株主は、監査権の行使を期待している。株主の期待に応じるため、より慎重に、自制に監査権及び株主総会の招集権を行使すべきである。単に一部の株主の利益のために権限を行使するという批判を避け、これこそ会社の最大の利益に合致しているのである。

(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/legal/27251.html)