持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年の国連サミットで採択された国際目標である。企業がその社会責任に基づき、社会と環境と関係あるグローバルの問題を実践するよう呼びかける。その中には、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに(Affordable and clean energy )」、「つくる責任つかう責任(Responsible consumption and production)」、「ジェンダー平等を実現しよう(Gender equality)」等17の目標・169のターゲットから構成される。しかしコロナ禍が続く中、企業の成長とその社会責任は両立するには、どうするかいいのかが最新の課題となっている。
SDGsが台湾企業にもたらす影響
経済、環境と社会との兼ね合いを求め、かつ持続可能な経営をするため、台湾には多くの企業がその製品やサービスにSDGsを取り入れている。SDGsを取り入れる際に、企業がもっとも気になる点は二つある。一つ目は、生産コストが増加するため、定価も同じような製品やサービスより高くなり、企業に直接な衝撃を与えることである。二つ目は、SDGsの各ターゲットを達成するため、企業は自分の専門でない項目に更なる努力をつぎ込む可能性があると同時に、企業の位置づけと目標が曖昧化になってしまうおそれがあるということである。
上記の二つの懸念に対し、消費者は自分の理念に従いSDGsを取り入れた企業の製品やサービスを購入するという研究結果があり、SDGsを取り入れた企業は利益とチャンスを失うとは限らない。しかし各企業は自分自身の価値を如何に分析し、段階に分け、SDGsを適宜に取り入れて改善するかが、最大の課題になりつつある。
例を挙げると、アップル社(APPLE)はその製品の高品質を確保するほか、生産プロセスにおいても法令を遵守し社会責任を果たしてもらうため、「APPLEサプライヤー行動規範」を守らなければならないとサプライヤーに要求した。サプライヤーが労働者の権利、健康、安全と環境保護等において一定の水準を達すれば、当該サプライヤーとの契約は継続可能にする。サプライヤーは当該要求を達せず、もしくは拒否する場合、「アップルのサプライチェーン」から取り除かれる可能性がある。よって、「アップルのサプライチェーン」の一員になりたいであれば、SDGsを取り入れるほか、考慮する項目もアップルと大体同じでなければならない。
政府の役割
SDGsの要求に応じるため、台湾政府は2018年8月から行政院とその所属部署により、「社会革新行動プラン」を実施し、「革新、就業、分配」を中核とする新しい経済モデルを実践することによって、国際関係を強化し、国内における経済、社会と環境の包括的な成長を促した。行政院のウェブサイトの説明によると、社会革新は、「科学技術もしくはビジネスモデルの革新的な応用を通じて、社会の各グループ間の関係を変える。このような変わりの中から、社会問題を解決する新しいルートを見つけ出し、革新的な方法で社会問題を解決する。」とのことである。社会革新の概念を普及させ、この概念を国民に浸透させるほか、政府の一番大切な仕事は、企業に対し社会革新を提供し、SDGsの要求を満たせ対応させることである。それゆえに、政府は、部署をまたがるプラットフォームを立ち上げ、SDGsを取り込んだ企業に誘因を与えるべきである。
コロナ禍のSDGsに対する影響について、国連は新型コロナウィルスがSDGsにもたらす衝撃レポートにおいて、現在パンデミックがもたらした貧困と社会的弱者層への影響のほか、「ポストコロナ」時代では、科学技術と企業の力を如何に利用し、持続可能な発展と防疫のバランスをとるのか、すなわち公衆・従業員等の健康を守りながら、資源が限られている中で経済発展を維持することは、現在各国の最大の課題である。台湾は、「先手先手の対応」でパンデミックの衝撃は小さいので、企業はこの機に乗じて自分自身のチェーンにおける改善点を見つけ出し、SDGsの要求に満たし、自分の国際における競争力を高めるとよい。もっと積極的に関連する協力や補助を提供すべきであり、経済の成長につながるほか、国際的にも認知度を向上させできることは政府の責務である。
この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/business/28708.html