去年台湾映画「消えたバレンタイン」は、そのストーカーと嫌がらせ行為にかかわるストーリーが、意外と熱い議論を引き起こした。しかしながら、現実の世界において、家屋税は本当に消えてしまった。最も有名な事例は、ある市長選の候補者のファミリー企業が、会社所有の建物を学生寮として学校へ提供し、家屋番号を増やす方法で各戸の現在価値を10万元以下に低減させ、家屋税から逃れようとしたことである。
行政院第3748回会議において、2021年4月22日に「房屋税(家屋税)条例」の一部条文改正案を論議し、可決した。住居とする家屋は、現在価値が10万元以下の場合、家屋税を免除する対象となり、自然人が所有するもの、かつ全国において3戸を限度とする。
現行の「房屋税条例」第15条第1項第9号では、住居とする家屋の現在価値が10万元以下の場合、家屋税を免除すると規定されている。すなわち、自家用と現在価値が10万元以下の条件を満たせば、家屋税を免除することができる。戸数の上限がないだけではなく、所有権者は自然人に限らず、法人も含まれている。当該規定の立法趣旨は、経済的弱者の低所得層を配慮し、その負担を軽減すると同時に、地方自治体の財政収入との兼ね合いのためである。現在価値が10万元以下の家屋は通常小さい、もしくは老朽であるため、税金を免除することができる。それに対して、法人は経済的弱者と言えるのか。4戸も5戸も所有しているなら、低所得層と言えるのか。しかも、家屋の老朽は時間によるものであり、人為的な要因で影響することができないのに対し、家屋の大小は分割することができる。
財政部はこの状況に鑑みて、家屋の所有権者が家屋番号を新規作成もしくは増加することによって、家屋を小さく分割して賃貸に出し利益を獲得すると同時に低価額家屋の税金免除規定の適用を防止するため、現行の「房屋税条例」第15条第1項第9号の「住居とする家屋の現在価値が10万元以下の場合、家屋税を免除する」規定を改正し、自然人でない所有権者(例えば法人)の適用を排除した。そして自然人の所有も、全国において3戸を上限とする。家屋税の課税所属期間に合わせ、上記の条文を改正し、2021年7月1日から施行するものとする。それと同時に、「房屋税条例」第12条を改正し、家屋税の徴収期間を毎年5月1日から5月31日までとし、課税の所属期間は前の年の7月1日から当年度の6月30日までとする。
「不動産取引実勢価格登録制度や房地合一」(建物と土地の売却益に同一基準で所得税を課すこと)のバージョンアップに続き、「房屋税条例」改正案は、行政院の言う「不動産市場を健全する目的」を達成できるかどうかは、まだ未知数である。ただし、抜け穴のふさぎ及び低所得層の負担軽減について配慮することは、その意義があると考えられる。2021年7月1日から施行することの可否につき、立法院の審議結果次第である。
(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/tax/29497.html)