「工商時報_名家評論コラム」: 残業を申請しないと、残業代がもらえない?

2022-03-18

企業は経営・管理するため、従業員が残業する必要のあるとき、事前に申請を提出し、使用者若しくは上司に同意してもらわないと残業することができないと、労働契約若しくは就業規則に定めている。これは、従業員が残業する必要のない状況において、仕事を故意に遅延させ、又は残業代を受け取るために時間を超えて職場にとど

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企業は経営・管理するため、従業員が残業する必要のあるとき、事前に申請を提出し、使用者若しくは上司に同意してもらわないと残業することができないと、労働契約若しくは就業規則に定めている。これは、従業員が残業する必要のない状況において、仕事を故意に遅延させ、又は残業代を受け取るために時間を超えて職場にとどまる状況を避けるためである。これは、「残業申請制」という。
 2020年1月1日から施行される労働事件法第38条では、出勤記録に記録されている労働者の労働時間より、労働者が当該時間において使用者に同意されて職務を執行したことと推定する、と規定している。言い換えれば、出勤記録(タイムカード、出勤簿)に記載されている時間は、法律上では、使用者に同意された従業員の勤務時間であると推定される。当該条項の規定は、労働者が残業代争議における立証責任を軽減することを意味している。しかしながら、出勤記録に記載された従業員の労働時間から、従業員は当該時間内に使用者に同意された職務を執行したことが推定できるものの、使用者もまた労働契約や就業規則若しくはその他管理資料を提出し、反対の証拠とすることができる。実務上でよく見られる争議は、出勤記録に記載された通常の就業時間以外の勤務時間は、従業員が使用者の同意なしに自主的に残業したと、使用者が抗弁することである。残業申請制を設けている企業では、使用者は、従業員が残業申請規定を守らなかったことをもって、労働事件法第38条「使用者に同意された」反対の証拠とすることができるか。仮に従業員は確かに仕事を延長する必要があれば、事前に残業を申請しなかったため、残業代をもらうことができなくなるか。
 この問題について、実務上ではまだ一致する見解がない。ある裁判所の見解では、従業員に残業した事実があるとしても、規定に従い事前に残業を申請しなければ、残業代を受け取ることができないと認めている。また、反対する見解を持つ裁判所もある。労働者は通常弱者であり、ときには組織文化や雰囲気、暗黙のルールに拘束され(上司より早めに退勤してはならない、又は出世のために自主的に残業、若しくは残業代を放棄する)、使用者と平等に話し合うことができない。仮に従業員は使用者に残業をはっきり示され、又は使用者が従業員がその指揮・監督の下で残業することをはっきり知っている、若しくは知り得る場合、制止若しくは反対する意思を示さなければ、使用者は従業員に残業代を給付すべきであり、企業の残業申請制の有無により異なることがない。
 また、折衷的な見解もある。使用者は従業員の就業を監督・管理する権利、そして従業員の出退勤記録を持っている以上、記録が事実と異なる状況であれば、使用者は直ちに処理や修正することができるため、原則的には、従業員の就業記録に記載されている残業時間は、全て使用者に同意され、かつ従業員が実際に残業した事実であると推定される。但し使用者は、他の証拠を提出し、ひっくり返すことができる。例えば、監視カメラの映像を提出し、従業員が会社にとどまったのは会社のフィットネスマシンを利用するためであることと、コンピューターの起動と電源を切る時間の記録を提出し、従業員が仕事用のコンピューターの電源を切った後、スマホをいじて家族が来るのを待っており、実際に労務を提供しなかったことを証明する。労働事件法が施行されて2年余りになり、使用者は、労働者が残業申請規定を守っていないことをもって、労働事件法第38条でいう「使用者に同意された」反対の証拠にすることの可否について、まだ一致する見解がなく、将来の裁判所の見解はまだ分からない。
 残業申請制は、使用者が従業員の自主的な残業を管制する時、残業の必要性につき審査する措置であると認められるが、法律上には使用者に出勤記録を管理する権利を与えた以上、企業は出勤記録の異常を管理するメカニズムを立ち上げるべきである。仮に従業員が遅く退勤したのに残業を申請していなければ、必ず従業員が公務を従事したか否かを確認する。そうでなければ、退勤時間を修正し、従業員の就業時間を確実に記録しなければならない。そうすることによって、労働事件法第38条の立法目的に落とし込み、後続の紛争を避けることができる。

この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/tax/38112.html