ESGは、近時最も世間を沸かせ、人気のある話題である。投資信託がESGを謳えば、ある程度の魅力を感じるので、ESG関連の投資信託を検索すれば、20本以上は出てくるはずである。また、コーポレート・ガバナンスの立場から見れば、こういったESGと関連する投資信託は、ある程度の「受託責任」を背負っている重要な役割でもある。つまり、企業が投資を誘致したければ、ESGに努力しないと資本市場では愛顧を得られない。
本稿が指摘したいのは、投資信託の業者がうわべだけ環境保護に熱心にみせるか、いわゆる「グリーンウォッシング」であるか否かである。「グリーンウォッシング」とは、ESGをマーケティング戦略に使うものの、誠心誠意で環境保護に配慮していないことを指す。例えば、ある投資信託の管理チームは、ESGと関連する標的の選別手続と基準を設けており、外部に説明・募集しているにもかかわらず、結局ある株価が急上昇で強気な銘柄を選んだ。しかしながら、この企業は、実に環境保護において悪名高いのである。
2022年5月23日、ニューヨークのBNYメロン投資信託会社(BNY Mellon Investment Adviser, Inc.)はESGに関して、故意に隠ぺい、不実な陳述までしたため、米国証券取引委員会(SEC)に150万米ドルの罰金を処っされた。ということは、同社が明示や暗示を通じて、投資者に当該投資信託がESGの関連評価を通過したと示したが、実はそうではない。
注意していただきたいのは、2021年3月、米国証券取引委員会は執行部(the Division of Enforcement)の下に気候移行計画に関するタスクフォース(Climate and ESG Task Force)を立ち上げ、投資信託業者の資本市場での影響を常時監視している。
台湾において、同様な地雷と問題はあるでしょうか。証券投資信託及び顧問法第8条第1項では、「証券投資信託業務、証券投資顧問業務、全権委託投資業務、基金保管業務、全権委託保管業務もしくはその他本法で定めた業務を行う業者は、次のようなことをしてはならない。一、虚偽行為。二、詐欺行為。三、その他他人を誤信させる行為。」、同条第2項では、「証券投資信託事業、証券投資顧問事業、基金保管機構及び全権委託保管機構が申告・公告する財務報告及びその他業務関連書類について、その内容は虚偽や隠ぺいがあってはならない。」と規定している。上掲の第8条第1項規定に違反する場合、3年以上10年以下の有期懲役に処し(同法第105条)、第8条第2項に違反する場合、1年以上7年以下の有期懲役に処する可能性がある(同法第106条第3号)。
ESGは人類の未来にかかわっており、代々重視すべきなことであると同時に、今日のコーポレートガバナンスが強調しつつあるものでもある。しかしながら、ESGの重視はただの形式に流され、企業が利得と業績を追求する道具になってはいけない。企業が本当に初心に戻り、将来の世代のことと、苦しいことも楽しいことも分かち合う従業員のことと、今まで一緒に作り上げてきた美しい社会と環境を考え、未来を切り開くことを願う。
(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/esg/41317.html)