今年4月末、エアビーアンドビー(Airbnb)のCEOブライアン・チェスキー(Brian Chesky)は、自社の6000名の従業員が「永久在宅勤務」という新たなリモートワークの制度を発表した。そして米国の知名なメディアにて、それが今後の働き方であると大胆に予測し、どうもエアビーアンドビーのアフターコロナでのビジネスモデルと密接に関係しているようである。
コロナ禍の影響で、多くの企業がハイブリッド型勤務やリモートワークを取り入れ始めており、ウィズコロナになりつつも、ハイブリッド型勤務やリモートワークは、今後ますます増加し、定着するであろう。リモートワークであるからこそ、秘密情報の流通は社内に限らず、外部に漏らすリスクが増えた。リモートワークにおける営業秘密の保護に対応するために、今までに実務経験に基づき、基本的なアドバイスを提供する。
リモートワークという前提において、営業秘密を保護するには、次の段取りを組めばよい。
一、 営業秘密の確認
まず、自社にはどのような営業秘密があるかを把握してから、どのような情報は保護すべきかを知ることができる。秘密情報は、研究開発部門だけに存在するとは限らないので、確認の際、各部門に対して行わらなければならない。例を挙げれば、研究開発部門が使用する特殊な材料に関する情報は、購買・調達部門にもあるかもしれない。そのため、異なる部門に対し完全に確認することによって、自社にどのような機密情報があるか、これらの情報がどこに保存されているか等を把握してから、はじめて保護することが言える。
二、 分級管理
どのような情報が保護すべきかを把握してから、各情報に対し、その重要性に従い分級する。重要性が異なった情報に対し、異なる程度の管理や秘密保護の措置を取る。
三、 規範制度の立ち上げ
前述の確認、分級段階を経て、「企業経営の命脈にかかわる情報」、「会社運営に大きく影響する情報」、「会社運営に影響する情報」、「運営に直接に使用できないが参考になる情報」等異なるレベルの秘密情報が分けられる。その中で、「企業経営の命脈にかかわる情報」に対し、特殊状況でない場合、リモートアクセスを制限することをアドバイスする。その他レベルの秘密情報は、レベルに従い、実際の状況によって異なったアクセス権(ファイルが複製できる、もしくは閲覧だけできる)や許可権を設定するとよい。
四、 内部統制とモニタリング
企業は、システムやプログラムを通じて、秘密情報に接触可能な従業員が秘密情報に対し使用する過程、例えばダウンロード、アップロード、複製、フィル名変更等全ての動作を確認しなければならない。そういったデジタル上の足跡に対し、モニタリングシステムを立ち上げ、異常操作の有無を把握し、秘密情報が外部に漏れることを予め防止する。
最後に、リモートワークが近いうちにしばらく続けるだろう。従業員は正式なオフィスにいないため、規定の細かいところをうっかりして、思わず自分の裁量で行動してしまい、会社の秘密保護に関する規範を違反し、取り返しのつかない結果になる可能性がある。しかしながら、従業員は、つい細かいところをうっかりしただけで、故意に違反することではない時もある。
そのため、教育訓練を通じて、従業員に会社の規範を熟知させることは、リモートワークにおける注意点になる。
(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/business/41788.html)