「工商時報_名家評論コラム」: 対中投資の審査について

2022-07-13

台湾から中国への投資は、「両岸人民関係条例」によって規制されているので、投資審議委員会の許可を受けなければ行なうことができない。どのような状況に許可が必要するか、如何にその許可をうけるかについて、「大陸地域での投資や技術協力の従事に関する審査原則」第3条では、投資の累計金額により事後申告と簡易審査

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台湾から中国への投資は、「両岸人民関係条例」によって規制されているので、投資審議委員会の許可を受けなければ行なうことができない。どのような状況に許可が必要するか、如何にその許可をうけるかについて、「大陸地域での投資や技術協力の従事に関する審査原則」第3条では、投資の累計金額により事後申告と簡易審査、特別審査の3種類に分けられている。

 事後申告のできる状況とは、「あるケースの投資累計金額」が100万米ドル以下である場合、投資者は投資を実行した後6ヶ月以内に投資審議委員会に申告すればよい。このような状況では、許可を受けなくても投資することができる。

 「簡易審査」を必要とする場合は、「あるケースの投資累計金額」が5,000万米ドル以下、もしくは5,000万米ドルを超えるが特別審査を必要としないケースである。5,000万米ドルを超えるが特別審査を必要としないケースはどのようなケースかについて、後ほど説明する。

 「特別審査」を必要とする場合は、あるケースの投資累計金額が「5,000万米ドルごと超えたとき」に、投資者は特別審査を受けなければならない。ここで注意していただきたいのは「ごと」であり、すなわち、5,000万米ドルを一区切りにして(5,000万、1億等)、「毎回累計5,000万米ドルを超える」場合、特別審査を受けることになる。

 この規制メカニズムをより明確に把握し、違法にならないよう、次の3つの例を参照されたい。

一、事後申告から事前審査になるケース(個人、中小企業は要注意)

台湾国籍のA氏は、中国のB社に10万米ドルを投資した。このケースの投資累計金額は100万米ドルを超えていないため、投資を実行した後6ヶ月以内に申告すればよいである。数カ月後、A氏は再びB社に対し、20万米ドルの設備を投入したので、このケースの投資金額は累計30万米ドルになる。投資者A氏は、「もう一回」投資審議委員会に申告しなければならない。。

 その後、投資者A氏はB社に75万米ドルに相当する生産用の原料を投入し、このケースに投資した金額は累計105万米ドルになったので、事後申告の100万米ドルを超えた。したがって、A氏は投資する前に、投資審議委員会に「簡易審査」を申請し、許可を受けなければ、投資を行うことができない。

二、簡易審査から特別審査になるケース

台湾国籍のC氏は、中国のD社に2,000万米ドルを投資した。このケースの投資金額は累計100万米ドルを超えたが、5,000万米ドル未満であるため、投資者C氏は、投資する前に「簡易審査」を申請しなければならない。

半年後、投資者C氏は再びD社に3,500万米ドルを投入した。このケースの投資累計金額は5,500万米ドルを超えたため、投資者C氏は投資を実行する前に、投資審議委員会に「簡易審査」ではなく、「特別審査」を申請しなければならない。

その後、C氏はD社に再び1,000万米ドルに相当する技術を投入した。今回の投資は、事前に「簡易審査」を申請すればよいである。このケースの投資金額は累計6,500万米ドルを超えたが、5,000万ドル「ごと」の要件を満たしていないので、今回の投資は「5,000万米ドル以上で特別審査を必要としない」場合に該当する。すなわち、投資者C氏がその後D社に投資した金額は累計1億米ドルを超えた場合、事前に「特別審査」を申請しなければならない。

三、多社間の連鎖投資による対中投資

台湾国籍の投資者E氏が台湾のF社株式を25%、F社がまた外国国籍のG社の株式12%を保有しており、E氏はG社の取締役とする。外国のG社が中国のH社に90万米ドルを投資した場合、台湾のF社は、「第三地域の会社に直接に投資し、その持ち株が10%を超え」ており、G社の投資も「中国にて投資を従事する」(投資行為の第5種形態を参照する)になるため、G社の投資を実行した後6ヶ月以内に申告しなければならない。

 また、台湾国籍のE氏も申告しなければならない。なぜなら、投資者のE氏にとって、F社のG社への投資は、E氏からG社への間接投資であり、E氏がG社の取締役を務めているので、「台湾地域の国民が第三地域の会社に間接投資し、かつ取締役やそれに相当する役職を務める」という要件を満たしている。そのため、G社の対H社投資は、「中国にて投資を従事する」に該当するので、E氏は投資実行後6ヶ月以内に申告しなければならない。

 なお、前にも述べた通り、G社が投資した金額は100万米ドルを超え、もしくはそのケースの累計金額が5,000万米ドルを超えた場合、E氏とF社は共に事前の簡易審査及び特別審査を申請しなければ、違法になる。

(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/tax/42446.html