「工商時報_名家評論コラム」: 独立取締役の未来――減縮される権限

2022-11-02

台湾の証券取引法によれば、公開発行する企業は、専門知識を持っており持ち株や兼職が制限された独立取締役を設置することができる。独立取締役は、その執行業務の範囲内において、独立性を保ちつつ、会社と直接もしくは間接な利害関係を有してはならない。

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台湾の証券取引法によれば、公開発行する企業は、専門知識を持っており持ち株や兼職が制限された独立取締役を設置することができる。独立取締役は、その執行業務の範囲内において、独立性を保ちつつ、会社と直接もしくは間接な利害関係を有してはならない。

 また、会社がより順調で便利に運営されるため、証券取引法は、公開発行をする企業が監査委員会を設置することを別に容認する。この監査委員会は、全ての独立取締役をメンバーとし、本来会社法が規定している監察人の代わりに関連職務を行使するのであり、監査委員会の中の各独立取締役にも同じような職務が与えられた。

 しかしながら、実務上では、上掲規定を施行した後、独立取締役が各自に監査委員会の権力を行使するとき、コーポレートガバナンスに関する疑問や争いがしばしば生じた。例えば、独立取締役が個人的に利害にかかわっているにもかかわらず、会社を代表し他の役員に訴訟を提起したり、数人の独立取締役が各自に株主総会を招集したり、独立取締役が会社を代表し自分や他人のために自社と取引する等が挙げられる。

 そのため、上掲の争議について、金融監督管理委員会は独立取締役の関連権限を減縮する改正案を提出し、このような事項の処理を監査委員会の合議制に復帰させた。前掲の状況に関する証券取引法第14条の4の改正案について、下記の通り説明する。

一、   会社と独立取締役と訴訟を起こす場合は、監査委員会が会社を代表する。

本来独立取締役が監査委員会が代替した監察人の権限を独立に行使することができるものの、会社が役員たちと訴訟を起こすとき、実務上では、独立取締役が単純に会社のために利益を主張し答弁することができるかという疑問がしばしば発生する。そのため、改正案では、独立取締役が会社を代表し役員たちと訴訟を起こす権限を、合議制の監査委員会の議決に復帰させ、自己利益に偏りなく、会社の利益を追求することを実現する。

二、   少数株主が役員を対象に訴訟を提起する場合、監査委員会が代わりに提起すべきである。

上掲と同じ理由に基づき、監査委員会の合議制は人々の意見と智慧を集め、個人利益が会社利益に対する影響をより低減させることができるため、改正案では、独立取締役が少数株主の請求により会社のために役員を対象に訴訟を提起する権利を縮減し、少数株主が会社のために役員に対し訴訟を提起する権利は監査委員会だけで受理・議決すると定められる。

三、   取締役会が株主総会を招集しない、もしくは招集できないとき、会社の利益のために、監査委員会は必要な時に株主総会を招集すべきである。

実務上では、利益相反の独立取締役たちは各自が主張する会社利益のために、同時もしくは相次いで異なる株主総会を招集し、異なる議決を作成したため、コーポレートガバナンス上の争議が生じた事例がある。その争議が訴訟まで発展し、会社の運営に避けられない損害をもたらしたのである。

そのため、改正案では、このような独立取締役の権限を削除し、取締役会が株主総会を招集しない、もしくは招集できないとき、会社の利益のために、監査委員会だけが合議制を通して株主総会を招集することを容認する。

四、   役員が会社と取引するとき、監査委員会の議決により権限を代表する。

独立取締役が会社と取引するとき、独立取締役が会社を代表し自分と取引することを容認すれば、利益相反の状況が生じ、又は本来監察人が会社を代理し役員たちと取引するという利益相反防止の目的に合致しない。

そのため、改正案では、この代表権を調整し、監査委員会が合議制をもって、単独の独立取締役もしくは監査委員会全体のメンバーが会社を代表することを容認するか否かを決定することにより、会社の利益を損害する状況を防止する。

 この改正案は立法院で審議されているが、関連規定の改正の目的は、将来経済発展のために、現在コーポレートガバナンス実務の問題を解決することである。この改正案が可決されれば、公開発行企業の組織や意思決定に重大な影響を及ぼすので、特別に注意しなければならない。会社が順調に運営されるよう、速やかに関連調整をしていただきたい。

(この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/tax/46017.html