「工商時報_名家評論コラム」: 外資系銀行に対し、まだ飽和状態に達していないミャンマーの金融マーケットの魅力

2020-07-06

政府が推進している「新南向政策(東南アジアやインドの各分野における関係強化を目指す政策)」、アジア・太平洋地域(APAC)における経済・貿易の取り組み、また新型コロナウィルスのパンデミックの影響により、台湾の多くの企業が供給連鎖や投資を東南アジア諸国へ移動させた。

作者

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Nishant Choudhary

政府が推進している「新南向政策(東南アジアやインドの各分野における関係強化を目指す政策)」、アジア・太平洋地域(APAC)における経済・貿易の取り組み、また新型コロナウィルスのパンデミックの影響により、台湾の多くの企業が供給連鎖や投資を東南アジア諸国へ移動させた。経済成長から生まれた十分な消費力をもつ新興中流階級によって形成されている東南アジア諸国連合(ASEAN)と南アジア諸国の莫大な内需マーケットのビジネスチャンスに対し、台湾のみならず、各国企業も焦点を当てて、当地進出のための金融や銀行サービスに対する需要を創出している。東南アジア諸国連合の中でミャンマーは、とても魅力的な国の一つであることに間違いない。

ミャンマーの金融マーケットはまだ飽和状態に達していない

過去3年間、ミャンマーの経済成長率は毎年6.5%を超えている。アジア開発銀行が4月に発表した見通しによれば、今年は新型コロナウィルスのパンデミックに影響されたものの、ミャンマーのGDP成長率は4.2%に達すると予測され、経済が成長し続けている数少ない国の一つである。ミャンマーは新興の開発途上国であり、5,400万の人口を有するが、まだ人口の半数は適切な銀行サービスを受けていない。ここ数年間、ミャンマー国内の合併と買収活動は安定して成長しており、当地で登録・設立された会社の規模や範囲も拡大しつつあるため、経験豊富かつ専門的な外資系銀行の資金調達の協力を求めることに、当地においては金融サービスの供給より需要のほうが大きいという現状が反映されている。

ミャンマー政府は、銀行業の開放を積極的に推進している。ミャンマー中央銀行は、外資系銀行によるミャンマー銀行への資本参加について、2019年1月から出資比率の上限を35%を超えない範囲内で開放したが、2020年1月には個別の申出により外資系銀行の出資比率の上限35%を超えるケースも認めると発表した。そのほか、外資系銀行に対する審査許可は、2014年と2016年に第一回及び第二回をそれぞれ完了し、多くの外資系銀行に支店と子会社のライセンスを発行した。支店ライセンスを取得した外資系銀行に対し、その払込資本金が7,500万ドルに達しなければならないと要求され、企業金融業務のみ従事することができ、消費者金融業務に従事してはならないとも要求されている。子会社の場合には、その払込資本金は1億ドルに達しなければならず、企業金融業務のほか、2021年1月1日から消費者金融業務にも従事することができるようになる。ミャンマー中央銀行は2019年11月7日に、第三回の申請を受付けると発表した。台湾は4行の申請をし、国泰世華銀行と兆豊銀行が支店ライセンスを取得することに成功した。

当地の銀行ライセンスを取得した後の準備作業

ミャンマー中央銀行の規定によると、支店ライセンスを取得してから9ヶ月以内に準備作業を完成しなければならないとされている。以下、着手時の注意点を述べる。

●当地の法条に合致するよう、銀行のフォーム・書類を局地化すること。

●内部のコンプライアンス規範を確立すること。その範囲は、ミャンマー金融監督管理機関が発表した銀行関連法令及び外国法を含む。例えば、《海外腐敗防止法》や《イギリス賄賂防止法》などである。道徳規範やマネーロンダリング対策、賄賂と腐敗の防止、接待、プライバシーの保護及び守秘義務、税務及び会社法の一般要求の遵守も含まれる。

●ミャンマーの従業員と労働契約を締結すること。

●従業員を養成すること。その内容は、マネーロンダリング対策やリスク事前評価(リスクアセスメント)、顧客確認(KYC)、疑わしい行為に対するモニタリングと報告、記録保存などがポイント。

●事業所を借りる場合、賃貸契約を締結すること。

●税務機関に登録し、営業開始30日前までに初回の商業税(commercial tax)登録を完了すること。各会計年度が終了する30日前までに更新すること。

●営業開始後30日以内に、主務官庁に従業員登録をすること。法に従い、毎月社会安全金を支払うこと(使用者負担率3%、労働者2%)。

●外国籍の従業員の商用ビザ(70日間有効)取得に協力すること。ミャンマーに長期間滞在し勤務する者は、長期在留期限及び複数回の入国査証を申請する必要がある。居住と勤務期間が連続的に90日を超える場合、外国人登録証を取得しなければならない。

●法に従い、会社書記役(Company Secretary)についての書類を提出すること。

ミャンマーの金融マーケットはまだ飽和状態に達していないため、当地マーケットを開拓したい外資系銀行の進出が望まれている。ミャンマーの法的枠組みは整いつつあるものの、慎重にリスクを評価すべきであり、当地銀行業及び法規制に詳しい財務・法律の専門家に協力を求めた方がよいであろう。

この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/monetary/21017.html