ある状況を想像してみてください。上場企業A社の会長S氏は、1年後に銀行から融資する予定があるが、当該産業の景気が突然に落ち込んだので、A社の売上が大幅に減少し、株価も暴落した。S氏は本来の資金調達の需要に加え、株価も維持したいため、売上を水増しする考えに走った。S氏は、業者を通しペーパーカンパニーBを設立し、元従業員K氏をB社の代表者に務めさせた。それから、A、B両社は架空の取引をし、売り上げを水増しした。
この際、重要な問題が生じる。A、B両社の取引は、関連当事者取引に該当するか。関連当事者取引と認められる場合、A社の財務諸表の注記によりそれを開示しなければならない。開示していない場合、粉飾決算になるリーガルリスクがある。
では、A、B両社の取引は、関連当事者取引に該当するかについて、財務会計準則公報第六号「関連当事者取引の開示」第2条では、関連当事者の定義を言及されている。次のような7つのいずれかの事情に該当する場合、関連当事者と認定される。1、持分法を適用する被投資会社。2、会社の投資に対し、持分法を適用する投資者。3、会社の董事長又は総経理が他社の董事長や総経理と同一人物、又は配偶者もしくは二親等内の親族である場合。4、企業から寄付された金額がその払込資本金額の3分の1以上に達する財団法人。5、会社の董事、監察人、総経理、副総経理、協理及び総経理に直接支配される各部門の管理職。6、会社の董事、監察人、総経理の配偶者。7、会社の董事、監察人、総経理の二親等内の親族。
しかしながら、本当に犯罪を犯す行為人は、通常上掲の7つの事情を通じて取引をしない。簡単に言うと、S氏は自分の妻や息子等の二親等内の親族より遠い親戚、A社の幹部より元従業員や運転手等に依頼するはずである。すなわち、優れた犯罪者は、必ず犯罪する前に関連法規制を把握し、何とかして回避するのである。したがって、財務会計準則公報第六号第2条で言及された「関連当事者に該当するか否かを判断する際に、その法的形式を見るほか、『実質的』関係も考慮すべきである」ことは、大変重要である。
「実質的」支配とは何かについて、財務会計準則公報第五号第5条において5つの状況を言及したが、実務上では、B社の財務、運営及び人事にA社の操縦の有無をもって判断する。例えば、検察がB社を捜査すると、B社に経理係がいないことを発見し、B社の会計処理はA社の経理部門が処理するのである上に、A,B間の疑わしい取引に関連する書面には、B社の董事長K氏のほか、A社の董事長S氏がメモ用紙に進行の可否を指示した。これ以外にも、B社の重要な人事案も、S氏の同意が必要であった。
これらの例が懸念されるのは、本当に犯罪しようとする者は、「非形式上」の関連当事者を動かし従わせて取引するのである。このような取引は、大抵形式上の関係者でないので、会社の取締役や経理担当者、会計士、投資者にバレない。そして気づきにくいので、会社の経理担当者も当然付記において開示しないのである。結局、会社の経理担当者(取締役さえ)が事実上気づきにくい取引のせいで、粉飾決算として検察に送致されてしまうことになる。
金融犯罪が常に借名やペーパー·コンパニーを利用し、非対向的取引もしくは特別背任罪にかかわっているが、そのせいで、粉飾決算のリーガルリスクは見逃されてしまうので、企業の取締役や経理担当者に次のようなことをアドバイスする。研修する際、粉飾決算に関連するテーマ(特によく見る粉飾決算の特徴、役員の責任、役員がどうすれば不祥事から身を守るかについて)を選ぶことと、職務を行使する際、今までと異なるやり方もしくは直覚的に異常であると思う時、関連する話合いや電子メールのやり取り、書面等に記録を残すと、粉飾決算のリーガルリスクに対応することができる。
この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/tax/37972.html)