「工商時報_名家評論コラム」: 異なる法人が同一自然人を取締役に指名する法律紛争について:賢者はみな同じように考えることができないか

2022-03-17

旧暦のお正月前、台湾土地開発股分有限公司(以下「台開社」という)の経営権には重大な変動があった。台開社は2022年1月26日夜、法人取締役の鴻生投資股分有限公司(以下「鴻生社」という)が元台開社財務長の郭福進氏を代表者に指名したので、邱于芸氏を董事長(代表取締役)から解任したプレスリリースを配信した

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 旧暦のお正月前、台湾土地開発股分有限公司(以下「台開社」という)の経営権には重大な変動があった。台開社は2022年1月26日夜、法人取締役の鴻生投資股分有限公司(以下「鴻生社」という)が元台開社財務長の郭福進氏を代表者に指名したので、邱于芸氏を董事長(代表取締役)から解任したプレスリリースを配信した。新聞記事によれば、邱于芸氏は1月28日に公開状を発表し、1月25日に麒麟船務代理有限公司(以下「麒麟社」という)に代表者として指名されたため、鴻生社に解任されても、氏の董事(取締役)とする職務は中断されないと説明した。したがって、自分の董事長とする役職も、鴻生社が代表者を変えたことによって支障をきたさないと主張した。台開社の董事長に関する波風が立つにつれ、法人取締役が代表者を指名する法律紛争は、再び浮き上がった。
 会社法第27条第2項では、「行政機関又は法人が株主である場合、その代表者が取締役又は監査役に選任されることもできる。」、同条第3項では「第1項及び第2項の代表者は、その職務関係に基づきいつでも派遣人員を更迭して従来の任期を補足させることができる。」と規定している。また、経済部93年7月30日経商字第09300580690号通達によれば、「この規定(会社法第27条第2項を指す)に従い、代表者を指名し、取締役又は監査役に選任させる場合、当該代表者の名義で選任されるものとする。」台開社の公開登記資料を調べ、及び2020年6月30日に董事を全面的に改選したことから分かるように、鴻正社と麒麟社とも会社法第27条第2項規定に従い、それぞれの代表者を指名し董事に選任させたのである。そして鴻生社は会社法第27条第3項に従い、2020年12月1日にその代表者を邱于芸氏、再び2022年1月26日に郭福進氏に代えたのである。上掲事実から分かるように、邱于芸氏は1月25日に、「鴻生社」と「麒麟社」から同時に代表者として指名された。ここでの法人株主が同一自然人を代表者に指名する法の効力は如何かについて、探究する値がある。
 経済部57年12月10日商43432号通達によれば、「行政機関又は法人が株主である場合、その代表者が取締役又は監査役に選任されることもできると、会社法第27条第2項に定められている。2つ以上の法人株主が同時に同一の自然人をそれぞれの代表者に指名し、会社の取締役か監査役に選任させることの可否について、会社法にはまだ明文化していないが、2つの法人がそれぞれの代表者に対し異なる指示を下した場合、その取締役とする職務の執行を妨害するため、良いことと考えられない。会社法第197条の適用に対しても、障害をきたす。」と解釈している。また、経済部98年2月19日経商字第09800522520号通達において、法人取締役が別の法人取締役に取締役会の出席を委託する場合について説明する時、「股分有限公司の2名の法人取締役は、取締役会の出席に同一の自然人を指名してはならない。」と直接に示した。経済部の立場は、2つ以上の法人株主が同一の自然人を指名し取締役会に出席させることを賛成しないようであるが、その法的根拠はまだはっきりしない。
 上掲経済部の通達では、2つ以上の法人株主が同一の自然人を指名し取締役に選任させることは、会社法にまだ明文がないことを説明した。また、委任関係から見れば、法人株主を代表し取締役の役職を執行する自然人は、会社法第23条第1項の規定に従い、会社にその忠実義務及び善良な管理者としての注意義務を守らなければならない。取締役の役職を執行する自然人は、法人株主から指示があるとしても、会社の立場に立ち、有利か否かを判断すべきであり、法人株主の指示に従うわけではない。
 法人株主は、会社法第27条第3項に従い、いつでも代表者を更迭することができる。この更迭の権限は、法人株主の意思執行を保障することができるので、2つの法人株主がその代表者に指示がある、又は指示が一致しないとしても、当該代表者も会社の立場に立ち、取締役の役職を執行すべきであり、法人株主の指示により変わることなく、指示の不一致により取締役の役職を執行することを妨害してはならない。上掲の状況のについて、経済部は賛成しない場合、賛成しない法的根拠及び法律効果をより明白に説明すべきである。
 また、鴻生社が代表者を指名し台開社の取締役を務めさせ、代表取締役に選任されたことは、法人株主が代表者を更迭したことにより異動が生じるかについて、経済部68年8月20日商26434号通達によれば、その更迭した代表者は、引き続き元代表者の役職を務めることができなく、会社法第208条に従い、取締役会によって選任しなければならない。すなわち、法人株主は、その代表者を元代表取締役の役職と直接に代えることができない。今回の事案において、鴻生社は他の代表者に更迭したとしても、その元代表者である邱于芸氏は、同時に麒麟社に代表者として更迭され、取締役の役職を執行することになったので、取締役の身分を失わなかった。経済部93年7月30日経商字第09300580690号通達によれば、行政機関又は法人が株主である場合、会社法第27条第2項に従い代表者を指名し取締役に選任された時、当該代表者の名義で選任されるとしている。仮に同時に2つの異なる法人株主に指名され代表者になった場合、その指名が無効であると主張できる関連法的根拠がない。したがって、取締役の身分を失っていない代表者は、その代表取締役とする役職に影響しないようである。
 台開社の代表取締役に関する紛争は未解決のままで、会社の運営も停滞し、手形が不渡りになったり、上場廃止になる危機が次から次へと迫ってきた。経済部の通達一枚で会社運営を変局から救えないかもしれないが、紛争を鎮まることに役立てば、台開社が1日でも早く正道に戻ることができ、株主たちの権利を守ることにつながるでしょう。
この文章は「名家評論コラム」に掲載。https://view.ctee.com.tw/tax/38084.html