海外のメディアによると、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)はガンを患い、終末期に、体に設置された医療機器、設備に大変不満であったと言われている。このきっかけで、スティーブ・ジョブズは、アップル社に関連製品の開発にさせるかはわからなかったが、科学技術の発展、近時の新型コロナウィルスの影響も加え、多くの患者や健康に懸念している市民は、感染のリスクを減少するため、遠隔医療サービスを求めている。このようなウェアラブルデバイスの革新は、医療需要に新しい方向を提供している。
ウェアラブルデバイスの着用を通じて、遠隔患者の看護や診断の実現、患者の活動範囲の増加、医療システムのコストの軽減及び完全な記録、モニタリングで医療の品質、効率の向上等目的を達成することができる。しかし、正確性、適時性及び衛生等技術的問題を除き、市民の健康や安全を保障するため、医療用のウェアラブルデバイスは、多く行政規制を受けると想定されている。また、ウェアラブルデバイスの利用にあたり、患者の個人情報の保護にも、多く不確定性は残されている。
Apple Watch Series 4を例にすれば、転倒検出及び心電図アプリによる心房細動の計測等機能を目玉としている。長い時間を経ていたものの、2018年に、米国のFDA(米国食品医薬品局)は、第2類医療設備として認定した。しかし、最近のApple Watch Series 6は、新たに血中酸素濃度センサーを搭載し、血中酸素濃度計も同じく第2類医療設備とされるものの、FDAは、アップルに認定を申請するよう要求しなかった。
主な原因としては、今回、アップル社はApple Watch Series 4のように、病気診断の機能(「心房細動計測」(Atrial Fibrillation,AFib))を示しておらず、血中酸素濃度センサーは、あくまでも娯楽又は一般的な保健(Wellness)用のものであるので、FDAの認定なくでも販売することができる。
一方、台湾の医療器材関連法規は、治療、病気診断、又はいわゆる娯楽や保健機能を区別していない。医療器材管理条項第3条第1項では、「本法でいう医療器材とは、測定器、器械、道具、物質、ソフトウェア、体外診断医薬品 及びそれに関連したものを指す。そのデザイン及び利用は、薬理や免疫、代謝若しくは科学以外の方法をもって人体に働きかけ、以下に示す主な機能の一つを達成する。一、人類の疾病を診断、治療、緩和又は直接に予防する。二、人体の構造と機能を調節又は改善する。三、生殖の調節。」と明文に定められている。すなわち、心電図管理システム(ECG management system)や心房細動計測器・警報器、プログラム設定可能なコンピュータ診断支援装置(プログラム作成により1個や数個の電極、伝導器又は計測器から輸出する情報をもって、各生理学的パラメータ若しくは血流のパラメータを計算する器材であり、市場で見られる如何なる関連プログラムを含む)、単一機能のプログラム設定できたコンピュータ診断支援装置、生理学的指標オシロスコープ(例えば動脈の血液量の増減の計測等生理学的振動の器材)又は運動及び航空用非侵入式血中酸素濃度計は、全て医療器材として定義されているので、Apple Watchのかかる機能を使用しようとする場合、台湾の食品薬物管理署に医材許可証を取得しなければならない。従って、許可証を取得していない場合、台湾や一部地域では、関連機能はロックされ、台湾及び一部地域の消費者はこれらの主要機能を使用できなくなる。アップル社は、台湾の業者に依頼し医療器材許可(衛部医器輸字第033901号、“Apple” ECG App)を申請して取得することによって、今後、台湾の消費者がかかる機能を使用できるであろう。
ただし、政策面から見ると、台湾の管理機関はFDAのように適宜に規制を緩和して管理できるかという問題がある。例えば、医療器材が宣言できる機能を明確に定義し、医療器材許可を取得しなければ、その製品は当該機能を宣言することはできない。仮に単純に個別なデータを提供して、娯楽や生活の記録として利用し、かつ、警告メッセージを付記することによって、市場において、医療器材と一般的な消費性商品を区別できれば、紛争や管理上の抜け穴になる若がなかろう。台湾の消費者にとっては、同じや相当な価額で同じな製品を購入するものの、同じな機能を使用できない場合、あまりに不公平である。また、電子機器の製造や小売業者は、その運営及び市場の需要により、医療器材製造業者又は医療器材販売業者の関連規定に拘束されるかを選択できることも、関連製品の発展と競争を促すことになる。
この文章は「名家評論コラム」に掲載。
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