フランチャイズ加盟のビジネススタイルは創業の敷居が低く、既有のブランドを利用することができるので、新しいブランドを立ち上げる宣伝費用を節約できるといったメリットがあり、今では、小規模の創業者にとって高い魅力を有する。しかし加盟店の運営費用・原料・資材・設備などの重要な情報について、フランチャイザーとフランチャイジーの間には、情報の非対称性という状況が存在している。フランチャイジーを保護し、フランチャイズ市場の健全な秩序を維持するため、公平交易委員会(台湾の公正取引委員会)は「フランチャイザーの経営行為にかかわる案件に関する公平交易委員会の処理原則」(以下「処理原則」)を制定し、フランチャイザーが契約締結前にフランチャイジーに対して開示すべきフランチャイズの重要情報を定めている。
2018年8月1日、公平交易委員会において、処理原則の改正が行われた。今回の改正内容は、以下のポイントが含まれる:
一、情報開示時点について、「双方約定の期間」が加わる
もとの処理原則に、フランチャイザーは契約締結の「10日前」あるいは「個別案件で合理的と認められる時点」に重要情報を提供すべきと規定していたが、今回の改正で「双方約定の期間」が加わり、情報開示の時間がより弾力的になった。
二、フランチャイザーが開示すべき情報の削減
今回の改正で、「県(市)内の同一フランチャイズ加盟店の店舗数・営業所在地および前年度の契約解除・終了比率に関する統計データ」、「売上の見積あるいは収益の見積などの財務の予測情報がある場合、その計算方式あるいは根拠となる現存加盟店の経営実績の証拠」を開示項目から削除した。知的財産権にかかわる開示部分につき、もともと公開情報である権利の「内容および有効期限」が削除された。
三、多様な開示方式が加わった
もとの処理原則は、フランチャイザーは書面をもってフランチャイズにかかわる重要な情報を開示しなければならないこととされていたが、今回の改正でフランチャイザーはプリント、電子メール、電子記録装置、SNSあるいは通信ソフトを利用して提供することができるようになった。但しフランチャイザーは、情報を提供したことを証明するために、根拠の提出が求められる。
四・情報を開示しない正当な理由の例示
もとの処理原則第3点に、フランチャイザーがフランチャイズ情報を提供しない場合、正当な理由を持たなければならないと規定されているが、どのような理由が正当な理由になるかは説明されていなかった。今回の改正では、正当な理由につき次のように例示された:(1)もとのフランチャイズの経営関係の継続あるいは拡張;(2)フランチャイザーが客観的に当該情報を欠ける;(3)その他、フランチャイザーと取引相手方との間に、情報の非対称性が存在しない場合。
五、契約締結後の競争行為制限規定の削除
公平交易委員会の説明によると、フランチャイズ契約締結後、フランチャイザーによる競争行為制限をめぐる処分例は今までないという。しかもフランチャイザーに競争制限をめぐる違法行為があったときは、公正取引法第20条の規定に則り対処することができるので、この規定は削除された。
今回の改正では、フランチャイザーのフランチャイズに関する重要な情報の開示方式および内容が適度に緩和された。しかしフランチャイザーがフランチャイジーと契約を締結したり、あるいはフランチャイズの関係を確立したりする前には、処理原則に従い、フランチャイジーにフランチャイズにかかわる情報をていねいに提供し、十分に意思疎通を図ることが求められている。それに、注意すべきのは、将来フランチャイジーと不必要なもめごとを招かないように、また責任の帰属をはっきりさせるためにも、情報提供に関する証拠を保存しておくことが得策である。