最高裁判所刑事大法廷の最新決定、インサイダー取引罪における犯罪利得の計算方法について

2021-05-18

証券取引法第157条の1において定めれているインサイダー取引禁止には、同条第3項の民事責任及び第171条第1項第1号の刑事責任がある。しかしながら、民事・刑事責任上でインサイダー取引で取得した財物又は財産上の利益に関する計算方法が不一致であり、また刑事におけるインサイダー取引罪は如何に犯罪利得を認定

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一、争議の背景:
 証券取引法第157条の1において定めれているインサイダー取引禁止には、同条第3項の民事責任及び第171条第1項第1号の刑事責任がある。しかしながら、民事・刑事責任上でインサイダー取引で取得した財物又は財産上の利益に関する計算方法が不一致であり、また刑事におけるインサイダー取引罪は如何に犯罪利得を認定するかについて、実務上では争議がある。その点について、最高裁判所刑事大法廷は108年度台上大字第4349号決定を作成した。

二、大法廷の決定:
1. 証券取引法第171条第1項第1号はインサイダー取引罪について、「犯罪により取得した財物又は財産上の利益に関する計算方法は、行為人が利得を実現したか否かによってそれを決めるものとする。実現した場合は、株式を取引する前後の金額の差かける株式数で計算する(すなわち「実際所得法」である)。実現していなかった場合は、行為人が買い入れた(又はは売り出した)株式の価格と、情報が公開された後10営業日の引き値の平均値との差かける株式数で計算する(すなわち「擬制所得法」である)。」と規定している。
2. また、2018年1月31日に改正・公布された証券取引法第171条第2項の立法理由によると、「犯罪により取得した財物又は財産上の利益」はコストを控除すべきであり、刑法の新しい没収制度の「犯罪利得」の範囲とは異なるため、「前項の利得の範囲を計算する際に、証券取引税及び証券取引手数料等の税金コストを控除すべきである」。