2018年6月27日、台湾の立法院は《財団法人法》を可決し、この新しい法律は、2019年2月1日より施行発効する。
財団法人は台湾において、すでに長い歴史をもつ組織制度であるが、その組織設立および管理について専門的に定めた法律はなく、今までは民法の関連規定および各主務官庁所定の命令や行政規則が主要な法的根拠となっていた。しかし財団法人はあくまで一つの私法人であり、これに対する監督の厳密さや財務の透明性は公務機関と比べれば遠く及ばない。よって、財団法人の財産の管理および運用をめぐっては度々紛争が生じている。これに対し、《財団法人法》は関連する管理事項について明確に規定し、台湾現有の多くの財団法人に影響を及ぼすと思われる。
規定の仕組みからみると、財団法人法は民間資金の財団法人と政府資金の財団法人を区別し、その性質の違いに応じ、適切な管理を行うものとしている。政府の資金により設立された財団法人は、汚職防止のためにより厳格な監督・管理方式をとっているが、民間の資金からなる財団法人については監督の密度を低くし、私法自治の原則に則り、自由に定款を定めることができるとされ、その自治を推奨する。
以下、簡略に「財団法人法」の重要な規定を取り上げる。
一、 設立登記をしていない場合、財団法人の名義で対外的に財貨を募集し、業務を行い、またはその他の法律行為をしてはならない。これに違反する場合、台湾ドル10万元以上200万元以下の過料が科される。
二、 財団法人は、通謀、詐欺あるいはその他迂回手段を講じて、利益相反規定に違反して財産を移転・運用してはならない。また、董事(理事)・監察人(監事)は職務に乗じて利益を図る行為をしてはならない。
三、 財団法人は、保証人、会社の無限責任株主、有限責任組合(Limited Partnership,中国語:有限合夥)のパートナーあるいは組合(中国語:合夥)のパートナーになってはならない。個別の団体あるいは個人への補助あるいは寄付の金額についても比率上の制限を設ける。剰余金配分の行為も認められない。
四、 財団法人は、会計制度を確立して主務官庁に届け出ることが求められる。また、それは一般に認められた会計原則に合致していなければならない。
五、 財団法人には、情報を主務官庁に届け出たり、あるいは主動的に公開する義務と方式が課される。これに違反する場合には罰則規定が適用される。主務官庁が必要と認めたとき、財団法人の財務状況ならびに許可条件あるいはその他の法律規定に違反していないかについて調査することができる。財団法人かその規定を守らず、調査を回避、妨害、拒絶したりしたときにも行政罰が科される。
六、 民間資金により設立された財団法人の董事(理事)・監察人(監事)の人数・資格・専業能力、董事間の親族関係の比例および任期には制限がある。董事および監察人は原則的に無給職とされる。董事につき任期満了の際に改選できなかったの場合の処理方法も定められている。
七、 民間資金により設立された財団法人の董事会が職権を行使しなく、または行使することができない場合、財団法人に損害が生じる恐れがあるときの処理方法を定める。
今回の立法にあたり、争議が大きい宗教法人は規制対象に含めないとされた。しかし財団法人法が施行されると、財団法人においてもっとも疑問視されていた財務の透明性および主務官庁による監督管理権限がいずれもレベルアップすることとなる。財団法人の組織や運営を合理化にしてこそ、より積極的に公益に寄与し、市民の福祉に貢献するという立法の目的を真に達成できると思われる
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