台湾行政院公共工事委員会が2018年7月24日、最新の「調達標準契約書モデル」を公告しました。改正された重点についてご説明します:
一、 第2条「契約履行内容および場所」については、行政院が推進している循環型経済政策にあわせて、第5号が追加されました。これにより、行政機関は再生粒子素材を公共工事に利用することができるとされ、また契約の変更により使用することができることを明確に定めました。
二、 第3条「契約代金給付」については、第1号の契約代金給付方式における「一括価格計算」金額調整の部分について、調達契約要項第32条を参考して文字を修正し、契約金額および決算金額を「当該一括計算のすべての関連項目の変更前後の小計金額の合計」に改正しました。
三、 第4条「契約代金の調整」の「減価(価格の引下げ)收受」について、第1号第1目においては、まず契約の単価の一定割合に、適合しない部分の数量をかけ、個別項目の減価金額および違約金を算定し、また後段に、サイズ・材料が契約約定に適合しない場合を除いた減価金額の計算方式を加えるような改正が行われました。その他、減価項目にかかわる一括価格計算項目は減価金額および違約金については、第1号第3 目に明記されました。第1号第2目において、元の選択項目の最後の部分に減価および違約金総額は「当該項目の契約価金」に限るとして、実務上よく疑問があります。これについては同会2016年1月14日工事企字第10400379720号通達(同会サイトに掲載)を参考し、減価金額と違約金の合計は「小計の金額」に限ると明確に規定しました。
四、 第5条「契約価金の給付条件」について、第1号第6目「物価調整の方式」において、もともとAの「営造工程物価総指数」・Bの「営造工程物価指数の個別項目・中分類項目および総指数の上げ幅」・Cの「物価指数変動によらない調整」という選択肢がありました。しかし、行政機関が入札募集時、総指数の変動をもって物価調整の根拠とすることを選択することが多く、契約履行期間中に少数の個別項目の激しい物価変動には機敏に対応しにくいので、A およびCの選択肢が削除されました。そのため、行政機関は入札募集書類に、個別項目指数の変動により工事費用を調整する材料を記載できるようになりました。未記載の場合、生コン・鋼筋・鋼板・型鋼およびアスファルトコンクリートとされます。また②を改正し、中分類物価指数調整項目が記載されていない場合、営造工程物価指数に列記された中分類項目により物価を調整するよう明記されました。
五、 第9条「施工管理」の外国籍労働者雇用の部分について、第13号(1)台湾労働部制定の「プロジェクト事案における民間機構が重大建設工事の投資および政府機関あるいは公営事業機構発注重要建設工事における外国籍人材雇用規則」・「雇い主に雇用された就業服務法第46条第1項第8号から第10号までに規定した作業に従事する外国籍労働者の就労場所の変更認定基準」において、外国籍労働者の雇用・派遣(就労場所変更)につきすでに規定されており、文字内容を改正することでより明確にしました。(2)同会2018年5月14日「公共工事で本国および外国籍労働コスト差による費用控除原則」会議結論に基づいて、割り戻し方式を明確にしました。(3)業者が違法に外国籍労働者を雇用する場合、行政機関は契約価金から当該外国籍労働者に対応する(本国労働者)の労働コストを差し引きました。
六、 第13条「保険」の第1号「営造総合保険」および「内装工事総合保険」の項目について、たまに行政機関がいずれの保険も加入を求める事例があり、業者を困らせる状況がありました。よってその内容を修正し、行政機関が場合により一つの保険を選択するようにしました。また、第2号第1目の(1)・(2)について、総合保険の担保範囲には「工事財物損失」および「第三者意外責任」が含まれると明記されました。その他、第2号第2目について、実務上、政府機関の担当者が業者の提供する保険書に記載された担保しない事項が契約内容と異なることが多いことにより、契約履行の疑問が出てます。よって不担保事項の内容を削除し、保険書は保険主務官庁に届出るか承認を受けることにが改正され、また業者が行政機関の同意得てなく勝手に付加条項をもって保険担保範囲を縮減することができないよう明記されました。
七、 第20条「契約変更および譲渡」第3号部分について、業者から行政機関での変更手続きに時間がかかりすぎて、その権益を損なたという苦情がよくあるので、機関は契約変更に伴う価格交渉の期限を明記しなければならなく、記載しない場合には3か月とすると改正されました。
八、 第22条「争議処理」について、「争議処理チーム」を加え、つまり他の訴訟外紛争解決機制(alternative dispute resolution, ADR)に含まれることになりました。これは、行政院工程調達契約書モデルに初めて導入された制度です。改正条文には争議処理チームの委員の構成・会議の進行・協調の成立について規定されています。これは、行政機関と業者に異なる紛争解決の方式を提供します。そのメリットは、後に訴訟の可能性やコストを低減する点にありますが、その運用の態様や実効性については、さらなる観察を要すると思われます。
九、 詳しい内容は、添付の「2018年7月24日行政院公共工事委員会工事調達標準契約書モデル修正対照表」をご参照ください。
添付文書:2018年7月24日行政院公共工事委員会工事調達標準契約書モデル改正対照表(中国語)。