会社剰余金配当の方式および会社法第228条の1の注意事項

2019-03-21

会社法改正施行から今まで、次々に上場・店頭取引会社が第228条の1に基づいて一年に複数回(四半期ごと又は会計年度半期ごと)の方式で剰余金を配当するように変更した。これにより投資者が一次的な剰余金の配当後ただちに株式を処分することを減少することができる可能性があり、会社の株価を安定させる効果があるとも

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[はじめに]

2018年8月1日に台湾の会社法が改正·公布され、行政院により2018年11月1日から同改正法が施行されることになった。同改正法によると、上場・店頭取引会社は会社経営の弾力性を高めるために、定款変更の方法をとることができると規定される。今回の改正で注目に値するのは、第228条の1(注1)による剰余金配当方式の増訂である。即ち、上場・店頭取引会社は、定款変更の方式を通じて、会社剰余金配当の柔軟性を増やせるようになった一方、投資者が配当を受け取る権利にも直接に影響を与えた。本稿では、法改正前後の剰余金配当方式および会社法第228条の1の適用上の注意事項について、簡単に紹介する。

一、 会社法における剰余金配当の方式

今回の会社法改正は、第240条(注2)に基づいて年度ごとに剰余金を配当し、及び第241条(注3)に基づいて法定剰余積立金および資本積立金をもって剰余金を配当する方式のほか、新しく第228条の1条に、「四半期ごと」、又は「会計年度半期ごと」に剰余金を配当する方式が加われた。以下は剰余金の配当の各方式および手続きを紹介する:

(一) 第228条の1、第240条に基づいた剰余金配当

1. 期中剰余金配当(第1~第3四半期あるいは上半期)

第228条の1によると、上場・店頭取引会社が定款において、四半期ごと又は半期ごとに剰余金を配当する方式の採用を定めることができる。この剰余金配当の議案は、営業報告書および財務諸表と併せて監察役の監査を経て取締役会に提出し議決されべきとされている。また剰余金配当の時、まず納付すべき税額を見積・留保し、法により欠損を補填し、および法定剰余積立金を積立ておく必要がある。但し、法定剰余積立金が払込資本額に達している場合は、さらに積立ることは不要である。剰余金の配当については、その種類により異なる手続きがとられる:

(1) 現金での剰余金配当:取締役会の普通決議

(2) 新株での剰余金配当:株主総会の特別決議

2. 年度剰余金の配当(第4四半期あるいは下半期):

第240条によると、年度剰余金を配当する時、上場・店頭取引会社は、発行済み株式総数3分之2以上を代表する株主が出席した株主総会において、出席した株主議決権の過半数の決議により、剰余金の全部又は一部を新株発行方式で配当することができ、一株に満たない金額は、現金で配当する。剰余金の配当については、その種類により異なる手続きがとられる:

(1) 現金での剰余金配当:公開発行会社は定款で取締役会の特別決議に授権し、その決議を経たうえで、株主総会に報告する。

(2) 株式配当での剰余金配当:株主総会の特別決議。

(二) 第241条に基づいた剰余金配当

公開発行会社は第241条に基づいて、法定剰余積立金および資本積立金を新株又は現金で配当することができる。剰余金の配当については、その種類により異なる手続きがとられる:

1. 現金での剰余金配当:公開発行会社は定款で取締役会の特別決議に授権し、その決議を経たうえで、株主総会に報告する。

2. 新株での剰余金配当:株主総会の特別決議

二、四半期ごと、又は半期ごとに剰余金を配当する際に注意すべき事項

第228条の1の適用はまだ馴染みがないので、台湾経済部は今まで二つ重要な通達で一部の争議問題を解決しようとした。以下はかかる通達において、剰余金配当にかかわる重要な内容を説明する:

(一) 会計年度の半期終了時を剰余金分配のスケジュールとする場合について(経済部2018年11月26日経商字第10702062900号)(注4)

会社が会計年度半期ごとに剰余金を配当する方式を選択し、会計年度は暦年制を採用する場合、会計年度前半期は6月30日に終了するので、7月1日以降は取締役会より剰余金配当又は欠損補填の議案・営業報告書および財務諸表を作成し、監察役の監査を得たうえで、12月31日までに剰余金配当又は欠損補填の決議を議決しなければならない。剰余金配当基準日前の5日間は株式の名義書換の停止期間である(第165条2項参照)。なお、いつ配当するかは会社内の自治事項である。

(二) 「四半期ごと」、あるいは「会計年度半期ごと」に剰余金の配当について(経済部2019・01・22経商字第201902400630号)(注5)

1. 会社は定款において、「四半期ごと」又は「会計年度半期ごと」のいずれかを選択して剰余金配当の方式を定めておく必要がある。定款変更後、その直前の四半期あるいは直前会計年度半期の剰余金は直ちに配当することができ、次の会計年度を待つ必要がない。

2. 「四半期ごと」又は「会計年度半期ごと」終了後に剰余金を配当しない場合、第228条の1第2項が規定する監察役監査の手続きを経る必要がない。但し会社として剰余金を配当しないと決めるためには取締役会の決議を要する。

3. また従業員の給与は法定の発給事項であり、会計年度終了ごとに発給すると規定されているので(第235条の1参照)、会社として「四半期ごとに(又は会計年度半期ごとに)」剰余金配当を採用しても、その前には、納付すべき税金を留保し、法により欠損を補填し、法定剰余積立金を積立てるほか、従業員の給与をも見積・留保しなければならない。

[結語]

会社法改正施行から今まで、次々に上場・店頭取引会社が第228条の1に基づいて一年に複数回(四半期ごと又は会計年度半期ごと)の方式で剰余金を配当するように変更した。これにより投資者が一次的な剰余金の配当後ただちに株式を処分することを減少することができる可能性があり、会社の株価を安定させる効果があるとも思われ、投資者が資金運用時に検討する要素の一つにもなるともいえよう。第228条の1の適用に関し、会社および投資者の参考のために経済部は二つの解釈を公表したが、これからどのような問題が発生するかについては、引き続きフォローアップする必要があると思われる。