2024年1月11日、金融監督管理委員会は〈公開企業の董事会議事弁法〉と〈公開企業の監査委員会の権限行使弁法〉の一部条項を改正した。その目的は、公開企業の董事会の議事手続を完備させ、独立取締役が監査委員会に参与する権利を保障し、企業の業務運営に支障をきたすことを防止し、コーポレートガバナンスを強化するためである。その詳しい内容は、次のとおりである。
一、 〈公開企業の董事会議事弁法〉について
(一) 〈公開企業の董事会議事弁法〉第12条第1項では、「董事会が予定される会議時間になっても、取締役全体が半数以上出席しなかった場合、議長は董事会の延期を発表することができる。」と規定されている。しかしながら、実務上では、会議時間が無限に延期され争議になったことはよくある。今回の改正は、出席者数が不足した場合、議長が会議を延期できる時間は「当日」に限ると明文で定めている。
(二) 実務上において、董事会の会議中に、議長が何らかの理由で会議を仕切ることができなくなったり、規定に従わず休会を勝手に宣言したりすることはよくある。新たに改正された〈公開企業の董事会議事弁法〉第13条第4項では、議長代理人の選定方法は同弁法第10条第3項規定を準用すると明文で定めている。ということは、この場合において、副董事長は議長代理人を務めることができる。副董事長がない、又は副董事長も不在、若しくは何らかの理由で職務を遂行できない場合は、董事長により1名の常務董事を指名し代理するものとする。常務董事を設けていない場合、1名の董事を指名し代理するものとする。董事長が代理人を指定しなかった場合、董事会の運営を維持し、董事会決議の合法性から生じる紛争を回避するために、常務董事か董事が相互1人を推薦し代理するものとする。
二、 〈公開企業の監査委員会の権限行使弁法〉について
(一) 証券取引法第14条の4第4項「董事に対する会社の訴訟及び董事が自己または他人のために会社と取引またはその他の法的行為を行った場合、監査委員会の合議により代表を選任するものとする」という改正にあわせて、今回の法改正は監査委員会の代表の選任につき、監査委員会に実際に在任するメンバー全員の2分の1以上が同意しなければならないと明文で定めている。監査委員会は、メンバーが個別に代表されるか共同で代表されるかを議決することができる。前項手続に踏まえて代表を選任しなかった場合、監査委員会が代表を選任できなかったことにより会社運営に支障をきたすことを防止するために、メンバー全員が共同で代表するものとする。
(二) 監査委員会独立取締役の会議に参加する権利を保障するために、監査委員会の会議時間や場所は、監査委員会独立取締役が出席しやすいように定めるべきであると明文化した。また、監査委員会が招集者を選任できなかった、若しくは招集者が招集をしなかったため会社運営に支障をきたすことを防止するために、招集者の選任方法を明文化した。招集者が休暇と取り、若しくは何らかの理由で会議を招集できないとき、招集者が他の独立取締役1名を代理人として指名するものとする。招集者が代理人を指名しなかった場合、委員会の独立取締役メンバーは1人を推薦してそれを代理するものとする。
(三) また、監査委員会の会議進行手続を明文化したことにより、監査委員会の議事手続を完備させた。その内容は、次のとおりである。会議通知で予定されている議事内容及び議案順番に従い、会議を行うべきである。監査委員会の議決により承認されなかった場合、議長は休会を宣告してはならない。監査委員会の出席者が全員の2分の1に満たない場合、議長は会議をその日に延期することができる。会議進行中に出席者が不足する場合、議長は会議を暫く中止することができる。招集者が何らかの理由で会議を仕切ることができない、または議長が規定に従わず会議を休会させた場合の代理人の選任方法などが含まれている。これにより監査委員会の議事手続を完備させ、その運営を維持し、コーポレートガバナンスを強化することにつながる。