労働基準法第84条の1では、「(第1項)中央主務官庁が認定し公告した下記の就労者は、就業時間、休日、休暇、女性夜間就業について、労使双方が別途約定し、かつ当該地の主務官庁に届け出て承認を得れた場合、第30条、第32条、第36条、第37条・第49条に規定されている制限を受けない。一、監督若しくは管理地位にある者又は職務責任制の専門人員。二・監視性又は断続的な仕事。三・その他性質が特殊な仕事。(第2項)前項約定は書面をもって行う。また、その際に本法に定められている基準を参考し、労働者の健康及び福祉を損ねてはならない」と規定されている。一般には、「裁量労働制」(中国語:「責任制」)にいう。
当該条項の規定を適用する労働者の就業時間、休日、休暇、女性夜間就業の事項については、労使双方が別途約定し、労働基準法関連規定の制限を受けない。ただし、すべての労働者に当該条項の規定が適用されるわけではなく、主務官庁即ち「労働部」が認定して公告する労働者でなければ、当該規定を適用することができない。
一般に、高給のホワイトカラー又は管理職労働者は、労働基準法第84条の1を適用し、労働基準法の勤務時間に関する規定などの制限を受けないという主張が唱えられてきた(即ち「ホワイトカラー免除論」)。そのゆえ、労働部が検討した結果、2019年5月23日に労働条3字第1080130514号通達を発した。この通達によると、認定された事業に雇用され、賃金が月額NT$15万元以上、労働基準法施行規則第50条の1第1号に該当している場合である限り、労働基準法第84条の1に適用されている監督または管理職は、労働者である。この通達は2019年5月23日をもって発効している。「労働基準法施行規則第50条の1第1号に該当している監督または管理職」とは、雇用主により雇用され、事業の経営及び管理に責任を負う業務に就いており、一般労働者の採用、解雇又は労働条件を決定する権限を有している主管レベルの者を指す。
、企業の人事にとっては、労働部の上記の通達は有利であるが、賃金が月額NT$15万元以上、労働基準法施行規則第50条の1第1号に該当している監督または管理職は、必ずしも労働基準法第84条の1によって労働基準法関連規定の制限を免除するわけではない。労使双方は、書面方式をもって約束し、かつ当該書面の約束を管轄主務官庁に届け出て承認を得る必要がある。