検索エンジン最適化(SEO)技術、不公平な競争行為になりうる?

2022-05-03

2022年4月21日、公平取引委員会は公処字第111019号、第111020号の処分書をもって、業者がSEOプログラムを設計し、「サイト未販売の商品ブランド」という表題と内容をまとめたWEBページを創出したことに対し、「明らかに取引秩序を影響しうる公平でない行為」に該当すると認め、公平取引法第25条

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一、 2022年4月21日、公平取引委員会は公処字第111019号、第111020号の処分書をもって、業者がSEOプログラムを設計し、「サイト未販売の商品ブランド」という表題と内容をまとめたWEBページを創出したことに対し、「明らかに取引秩序を影響しうる公平でない行為」に該当すると認め、公平取引法第25条の規定を違反したことで、それぞれ80万元と200万元の過料を科した。

二、 案件の事実
被処分者が設計したSEOプログラムは、「〇〇をお探しの方、超お得の〇〇をおすすめします!評価コメントが透明化、がっかりしない!早めに発送します!7日間の鑑賞期間で手軽に返品できます!」、「みんなが買っている〇〇は、(案件ショッピングサイト)で」などの表題で表示したWEBページを創出し、検索結果に現れた。しかしながら、関連商品(即ち上掲の〇〇)は、被処分者のショッピングサイトにおいて販売されておらず、「検索結果が示した内容と実情は一致しない」ので、公平取引委員会は公平取引法第25条を違反したことを理由に、不正行為の停止を命じ、過料を科した。

三、 処分の理由
(一) 本件について、公平取引委員会は、「WEBページのプログラムを利用し、他人の表記を不当に使用したことによって、自社サイトへのクリック率を向上させる」他人の努力成果の横取りに該当すると認め、その上、被処分者が「ショッピングサイト」であるため、特定した表現を使用したことはポイントではなく(他人のブランド価値を「すがりつく」ことではない)、その目的は「当該ショッピングサイトでは何でもあり、お得であるイメージを持たせること」であると説明する。
(二) 調べたところ、被処分者のショッピングサイトは、関連WEBページの表題や内容で表示した「〇〇商品」を販売していなかった。そのため、被処分者のWEBページは、「消費者がWEBページにクリックし、当該ショッピングサイトにアクセスしたことにより、前掲の特定した表記の『〇〇』の重要な取引情報を得ることができず、無駄な時間を費やしたこと」を引き起こしたことである。また、被処分者が間違った情報を継続的に存続させ、予防や更正をしなかったことによって、明らかに公平でない方法で取引チャンスを得た不公平な競争行為に該当する。

四、 分析
(一) 本件は、SEO技術をもってサイトの検索結果の表示順位を向上させるのにかかわっており、このケースの事実を更に突き止めれば、その評価すべきな行為は、「他人の表現を利用したWEBページの表題と内容は、その不実な内容により当該ショッピングサイトで関連商品を販売していることを消費者に誤認・誤解させ、ショッピングサイトへのアクセス数及び取引チャンスを増やしたこと」が不公平な競争に該当するか否かである。また、本件にも、内容不実の広告の当否を討論する余地がある。
(二) 本稿は、本件のポイントについて、「特定した内容(ショッピングサイトで販売している商品に限らない)や手段をもって、サイトの順位を向上させる技術」ではなく、「虚偽不実な情報をもって消費者を誤解させたこと」に非難すべきかと考える。
(三) 公平取引委員会の処分理由には、本件の行為が「他のサイトへのアクセスを奪い取った効果」を言及したが、検索結果の順位自体が後ろにあるサイトへのアクセス数は少ない効果を生むので、SEOの結果ではなく当事サイトに表れた内容を非難すべきであると是認する。言い換えれば、行為人が他人の表現をキーワード(若しくはSEOが認識する内容)に使用したが、サイトでは他人の表現やその他の消費者を誤解させる情報がなければ、このようなSEO技術により「他のサイトへのアクセスを奪い取った効果」を生じたにもかかわらず、不公平な競争行為に該当しないと考える(関連実務見解は、知的財産及び商業裁判所109年度民公上字第1号判決を参照する)。