一、前言
証券性質の仮想通貨は投資性及び流通性を有し、証券取引市場では盛んに発展しつつあるため、金融監督管理委員会(以下「金管会」という)は2019年6月27日に「証券型代用貨幣発行(Security Token Offering、以下STOという)関連規範」の説明(以下STO規範という)(∗備考1)を公表し、台湾が東アジアにおいて最初にSTOを具体的に規範する国となった。まだ検討する段階であるが、会社に対し関連ポイントは注意すべきである。その他、金管会は2019年7月3日に金管証発字第1080321164号令(以下係争令という)(∗備考2)をもって、STOを有価証券として明確に査定した。以下STO規範と係争令に基づき、簡単にSTOの性質や規範ポイントを紹介する。
二、証券性質の仮想通貨性質は有価証券である
金管会が公表した係争令は、証券取引法第6条第1項(∗備考3)により、証券性質を有する仮想通貨は証券取引法でいう有価証券に相当すると査定し、また、「証券性質を有する仮想通貨というのは、暗号理論及び分散型台帳技術やその他の類似技術を用い、デジタル方法で保存、交換、移転できる価値を表彰し、また流通性及び下記の投資性質を有する:
(一)出資者の出資。
(二)ある共同事業や計画に出資。
(三)出資者は利益を期待する。
(四)利益は主に発行者や第三者の努力による」と定義されている。
三、証券性質の仮想通貨発行関連規範検討ポイント
金管会が公表したSTO規範によると、現在は分級管理する予定である。資金が台湾ドル3,000万元(含める)以下の場合は、証券取引法第22条第1項(∗備考4)の申告義務を免除する。資金が3,000万元以上の場合は、「金融テクノロジー発展と革新実験条例」に従い、サンドボックス実験を申請し、実験が成功したら証券取引法に従い手続きを済ませらなければならない。STO規範の検討ポイントは3,000万元以下の限額STO募金案であり、そのポイントを説明する。
(一) 発行規範
1. 資格条件:我が国の公司法に従い組織され、上場や店頭、エマージング登録ではない株式会社
2. 募金対象と制限:特定投資家しか購入できない。特定投資家の自然人購入限度額はSTO案ごとに30万元を超えてはいけない。
3. 発行手順:発行者は同一プラットホームを通して募金しなければならない。プラットホーム業者は発行者が関連条件を満たすことと公開説明書を確認すること。プラットホーム業者が直接STOを発行する場合は、タイペイエクスチェンジ(TPEx)の審査を通ってから手続きを進める。
(二) 売買規範
1. STO売買方法:プラットホーム業者は株取引ディーラー免許を申請・取得してから、STOについて価格協議する。プラットホーム業者は各取引において相手方であり、市場参考と価格形成のために、プラットホーム業者はプロフェショナルの判断に基づき、市場状況によって合理的な相場(両側相場を取るべき)を提供すること。そして単一のプラットホームで取引すること。
2. 取引限度額:特定投資家の自然人は、各STO案の所有する金額は30万元を超えてはいけない。毎日各STOの取引量は当該STOの発行量の50%を超えてはいけない。
3. その他:価格が異常に変動するSTOを適時に冷ますため、関連価格を安定させる仕組みを定める。
(三) STO売買プラットホーム業者
1. 資格条件:株取引ディーラー免許を取得し、最低払込資本金は1億元、営業保証金は1,000万元である。
2. 受け付けられる募金限度額:単一のプラットホームのSTO適用除外案件は、そのすべての発行者の募金総額は1億元を超えてはならない。単一のプラットホームが最初のSTO取引をして一年間になってから、二つ目のSTOの発行を受け付けられる。
3. STO移転及び保管業務:投資者の権益を保護し、取引資料を保存するため、プラットホーム業者は台湾集中保管結算所と契約するべきである。毎日プラットホーム業者から異動資料や残高明細資料などの取引データを台湾集中保管結算所へ伝送し、バックアップする。台湾集中保管結算所は投資者にSTO残高の問い合わせを提供し、各投資者にSTOの取引データの正確性を確認させることを協力する。
(四) おわりに
仮想通貨の盛んにつれ、今後はもっと多くの会社が仮想通貨の発行を通し募金するようになると考えられる。STO規範はいまだに検討段階であるが、金管会が厳しい態度をとることは分かりやすい。今後正式な法律案が施行される後、募金と適法の間にどうバランスをとるのか、注意すべきである。
∗備考:
1. 金管会が「証券型代用貨幣発行(Security Token Offering,STO)関連規範」の説明
2. 金管会の金管証発字第1080321164号令
3. 証券取引法第6条第1項:「本法で有価証券というのは、政府債券、会社株式、会社債券及び主務官庁が査定したその他の有価証券という。」
4. 証券取引法第22条第1項:「有価証券の募集と発行は、政府債券や主務官庁が査定したその他の有価証券など以外に、主務官庁へ申告し許可を得てからなすこと。」