商標法第30条の12では、「次に掲げる状況については、商標登録を受けることができない。…十二、他人が先に使用している商品若しくはサービスと同じ又は類似する商標で、出願人は他人との契約、地縁、業務関係若しくは他の関係で他人の商標の存在を知り、模倣や盗用の意図で登録を出願する者。但し、その同意を得て登録を出願する者は、この限りではない。」と規定されている。これはいわゆる「先取り出願防止条項」である。その趣旨は、不公平の競争行為若しくは投機する人が特定の関係を利用し、他人が国内においてまだ登録していない商標を知り、先取りとなるような出願をし、他人の当該商標の使用を妨害することを防止することである。その目的は、取引の秩序や商業道徳を守るため、先に商標を使用する者が他人に商標を先取り出願になった場合、救済の機会を与える。
しかしながら、他人はすでに国内においてその商標を登録し、悪意の出願人が同じ又は類似する商標を出願した場合、本条項を適用するのか。実務上に疑問が生じる。ある見解では、本規定では「他人が『先に使用している』商標」と規定されるので、文言解釈によれば、登録済みの商標は排除されていないことになる。先に使用している如何なる商標であった場合、有名な商標とは限らず、国内外で使用することや国内で登録しているや否やを問わず、ただ他人との契約、地縁、業務関係若しくは他の関係で他人の商標の存在を知り、模倣や盗用の意図で先取り登録を出願する者であった場合、本条項を適用する(知的財産裁判所2018年度行商訴字第 28号行政判決、2018年度行商訴字第31号行政判決ご参照)。もう一つの見解では、本条項の趣旨は、他人が先に使用している商標の存在を知った故に他人の商標を盗用し先取り出願する行為を避けるためであり、権利保有者の商標はすでに登録済みであった場合、他人に「先取り出願」することにならないのである。よって本条項の「他人が『先に使用している』商標」とは、国内で未登録の商標に限らなければならない(知的財産裁判所2018年度行商訴字第 13号行政判決、2018年度行商訴字第 17号行政判決を参照)。2019年度司法院「知的財産法律フォーラム」で研究の結果は、商標は登録済みであるかまいか、他人に悪意で登録出願された場合は、共に本条項を適用すると多数の意見が出た(〈司法院2019年度知的財産法律フォーラム「行政訴訟に関する議題」の提案及び討論結果第4号〉を参照)。従って、今後実務上の見解の食い違いは、今回のフォーラムの後で局を結ぶであろう。