労働者法定休暇権と防疫措置との調和(1)

2020-04-20

混雑によるクラスター感染が発生するリスクを防止するため、政府は「メーデー連休を取消すことができるか」について、議論されている。ただし、メーデーは労働基準法の「法定休日」であり、その「取消し」の可否及び方法について、検討する必要がある。

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混雑によるクラスター感染が発生するリスクを防止するため、政府は「メーデー連休を取消すことができるか」について、議論されている。ただし、メーデーは労働基準法の「法定休日」であり、その「取消し」の可否及び方法について、検討する必要がある。

労働基準法第37条第1項によれば、メーデー、端午の節句などの「休日」において、原則的に、労働者は、出勤する必要がなく、使用者は給料を支払わなければならない。

しかし、現行の労働基準法第39条によれば、使用者が労働者の同意を得る場合、休日労働をさせることが可能である。ただし、この場合、使用者は、1倍の割増賃金を支払わなければならない。また、労働基準法第40条第1項によれば、天災、事変もしくは突発事件のせいで、使用者は勤務の必要があったと認める場合は、休日を停止し、出勤させることができる。ただし、この場合、1倍の割増賃金を支払い、また、代休を与えなければならない。実務において、労使双方が協議した上、休日を他の日に「振り替える」ことが認められる。

上記の労働基準法規定によれば、「労使双方が協議し、労働者の同意を得る」場合、「天災、事変もしくは突発事件が発生し、必要がある場合」、休日を「調整」するができる。ただし、政府から、「休日を取消す」という措置を行う根拠は欠いている。

所轄官庁は、「重大特殊伝染性肺炎の防止及び支援振興に関する特別法」第7条を根拠として、休日を停止することができるという見解もある。しかし、このような「包括条項」を根拠として、全国の労働者の休日を停止することができるか、懸念している。

また、休日停止の効果について、検討する必要がある。たとえば、割増賃金を支払うか、代休を与えるか等実務上の問題について、より明確に規範する必要がある。感染拡大を防止することは重要であるが、労使双方の権利、義務を如何に明確化するか、単に「感染拡大の防止」という理由で、労働者の権利を犠牲することを防止するについて、それは、政府がより深く検討しなければならない課題である。