一、 改正背景
近年証券取引法では上場・店頭企業の管理につき、正確な財務諸表を作成し開示するという要求により、投資者を保護するほか、給与・報酬情報の透明性を強化し、社員給与・役員報酬を公平かつ合理的にするという目標が求められている。そのため、ここ数年、給与報酬委員会を通し、給与・報酬政策が形成されていく過程において専門性と独立性が増してきた。今年(2020年)の5月5日に第三読会(最終読会)で可決し、2020年5月19日に総統が公布し、2020年5月21日に施行された証券取引法第14条第5項において、情報の開示と公衆の監督を一層強化することにより、会社が取締役・監察役・経理人の合理的な給与・報酬を定めるよう促進するとともに、従業員の労働条件の保護も期待できる。
二、 改正ポイント
証券取引法第14条第5項の改正は、以下の通りである。
証券取引所又は証券店頭売買センターでの上場企業は、第2項の規定に従い、年次財務諸表を作成する場合、主務官庁の規定に従い、会社の給与・報酬の決定方針や従業員全員の平均給与及びその変動状況、取締役・監察役等の役員の報酬の関連情報を開示しなければならない。
三、 評価
今回の改正は、金融監督管理委員会が公告した「次期コーポレートガバナンスのロードマップ(2018~2020年)」に基づき、投資人からの監督を通して、合理的な役員報酬と労働条件を定めるという趣旨は良いと思われる。しかし、給与・報酬の決定方針については、まだ補足及び解釈の余地があるため、今後、主務官庁による明確な規範の形成が期待される。