不動産賃貸借契約を締結するにあたって、賃貸借期間を約束した場合、民法第450条第1項規定に従い、賃貸借期間が満了する時に賃貸借関係は消滅する。そのため、仮に借主が借り続ければ、双方は賃貸借契約を更新し、賃料などの条件を改めて約束する。仮に賃貸借期間が満了しても、借主は継続的に物件を使用し、貸主は直ちに反対の意を示さないとき、民法第451条に従い、本来の賃貸借契約は期限の定めのない(不定期)ものとみなす。
不定期の賃貸借契約に変更された後、賃料などの条件は本来の賃貸借契約どおり継続されるが、不動産市場の変化につき、本来約束した賃料が相当でなくない可能性が生じる。この問題を解決するため、民法第442条には、不動産の価値の増加や減少により、貸主若しくは借主は裁判所にその賃料の増加や減少を申立てることができると規定している。そのほか、賃貸借契約の当事者たちも、債権契約に共通する「事情変更の原則」という民法第227条の2第1項に従い、裁判所に賃料の調整を申立てることができる。
民法第227条の2第1項では、「契約成立後、契約締結時に予測できない事情の変更があり、当初の契約内容の履行が明らかに公平を欠く場合、当事者は、給付の増減または当初の契約の法律効果の変更を裁判所に申立てることができる。」と定められている。この規定が、不定期の賃貸借契約に如何に適用されるかについては、最高裁判所109年度台上字第1405号民事決定でこれが示されており、その内容は、以下の通りである。
1. 本来の契約において約束された賃料は、敷地の固定資産税評価額の固定比率で計算されるため、固定資産税評価額に変動があれば、本来の契約に基づき賃料も増減する。そのため、契約成立後に契約締結時に予測できない事情の変更が発生し、賃料は本来の契約の計算方法で明らかに公平を欠く場合のみ、裁判所は民法第227条の2第1項の規定に従い、賃料を改定することができる。
2. 裁判所は賃料を改定する時、当事者たちが約束した本来の賃料や、契約成立後の敷地周辺の環境、景気の良しあし、借主が利用する敷地の経済価値及び受けた利益など、全ての状況を勘案し決定しなければならない。賃料相場の高低を唯一の基準にしてはならない。
この案件において、当事者双方は長年にわたり賃貸借関係であった。以前に締結した賃貸借契約が2010年3月31日に満了した後、再契約をしなかった。そのため、2010年4月1日から双方には、期限の定めのない賃貸借関係に移行した。最高裁は、当時貸主は、本来の契約で約束した計算方法による賃料が相場より安くなることを予測できたものの、賃貸に同意したことは当事者の自由であるという見解を示した。それに借主は当該土地の使用方法を変更しておらず、「事情変更の原則」の適用になるだろうか。また、貸主は賃料改定を要請できるとしても、「本来の契約において合意した賃料」と「契約締結当時の賃料相場」との違いを検討のベースにすべきであり、起訴時に改定すべき賃料価額を計算しなければならない。前審の裁判所は、起訴当時の賃料相場に従い賃料の改定を命じたが、もう一度見直しその理由を説明しなければならないとした。
この判決から分かるように、不動産賃貸借契約が不定期契約に移行し、民法の「事情変更の原則」を適用し裁判所に賃料の増減を請求する場合、最高裁は関連条件の制限があると判断する。貸主は、賃貸借契約の期間及び賃貸借契約が軽々しく不定期契約にならないよう注意すべきである。このように、賃料改定の権利の制限から免れるだろう。