最高裁判所は諮問手続を経て、2000年5月5日に改正・施行された民法第184条の規定は法人にも適用されるという見解に統一した。
民法第184条では、「故意又は過失によって他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。故意に善良の風俗に反した方法をもって他人に損害を与えた者も同様とする。他人を保護する法律に違反し、他人に損害をもたらした者は、賠償する責任を負う。」と規定している。これは不法行為責任の一般条項である。
最高裁108年度台上字第2035号判決(以下本判決という)の損害賠償請求事件の上告人郭氏は、民法第184条に従い、被上告人である某銀行に損害賠償を請求した。当該事件は最高裁判所民事第2法廷により審議され、「2000年5月5日に改正・施行された民法第184条規定は法人に適用するか否か」という裁判の前提要件について、今まで最高裁判所の見解が分かれたため、見解を統一する必要があると認めた。よって、2020年5月28日にその他の民事法廷に諮問した。その結果、各民事法廷はすべて肯定的な見解を示した。すなわち、民法第184条の規定は、法人にも適用されるというものである。上記法律問題は、諮問手続を通し見解を統一したため、大法廷で裁判を行ってもらう必要はなく、当該見解をもって直ちに終局裁判を行うものとなった。
本判決は、民法第184条を直接適用し、法人も不法行為責任を負うことを認めた。その理由は、以下の通りである。
1. 民法第26から28条規定に従い、法人は権利義務の主体であり、権利を享受し義務を負担する能力を有し、責任能力もある。
2. 民法第184条は不法行為の一般条項であり、当該規定の文脈及び立法の説明から見れば、その適用は自然人に限定されない。
3. 法人を民法第184条の適用から除外する場合、法人の代表者や従業員に過大な外部責任を負わせるだけでなく、被害者にも過大な立証責任を負担させることになり、不公平な結果を招くおそれがある。
4. 法人はその組織活動をもって、利益を追求するものである。また、法人もリスクを分散する能力を有するため、その組織活動によって生じた損害賠償責任を負ってはじめて公平性が保たれるといえる。
**本稿は司法院のニュースリリースを参考にしたものである。https://www.judicial.gov.tw/tw/cp-1888-269402-dfe87-1.html