実勢価格登録のアップグレード及び紅単(予約注文書)管理新規制度の概要

2021-01-20

2020年12月30日、立法院は〈平均地権条例〉、〈地政士法〉及び〈不動産経紀業(日本語:不動産仲買代理業)管理条例〉等法律が改正された。そのため、2021年8月1日から施行する予定の「実勢価格登録制度」をアップグレードし、預售屋(不動産の青田売り)の予約注文書の管理制度を新設した。

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李昕陽

2020年12月30日、立法院は〈平均地権条例〉、〈地政士法〉及び〈不動産経紀業(日本語:不動産仲買代理業)管理条例〉等法律が改正された。そのため、2021年8月1日から施行する予定の「実勢価格登録制度」をアップグレードし、預售屋(不動産の青田売り)の予約注文書の管理制度を新設した。今回の改正の概要は、以下の通り紹介する。

1、取引情報を完全に開示

 改正前の〈平均地権条例〉第47条第4項及び〈不動産経紀業管理条例〉第24の1条規定によれば、実勢価格登録システムにおいて開示された土地や家屋の取引情報は、個人情報を隠し、「区画化」と「識別性を無くす」という方式で国民の検索に供していた。そのため、今までの実勢価格登録システムは、住居番号表示板30戸を一つの検索単位とし、ある区画における土地や家屋の大まかな取引価格しか検索できなかった。今回の改正では、「区画化」と「識別性を無くす」情報開示に対する制限を削除し、将来「住居番号表示板」及び「土地番号」も含めて、土地や家屋の取引情報を完全に開示しなければならない。また、今回改正前にアップロードした、今まで情報開示制限のあった取引情報も併せて解禁され、改めて国民の検索に供するようになった。

2、主務官庁に監査の権力を付与

 新改正の〈平均地権条例〉第47条第6項は、申告・登録情報につき、各地方自治体は、不動産取引の双方や地政士、不動産仲買代理業者に対し、関連書類の調査、閲覧、又は説明を要求する権力を付与する。主務官庁は申告不実の疑いのある登録価格を調べた場合、関連機構や金融機関に対し、価格情報に関する書類の調査、閲覧を要求することができる。監査を受ける者は回避や妨害、拒絶することができない。

3、預售屋(不動産の青田売り)取引の即時申告

 2019年7月31日、〈平均地権条例〉等関連条例を改正した時、申告・登録情報の開示の「即時性」を確立した。すなわち、不動産を売買する双方は、不動産売買転移登記を申請する際に、申告書を添付すると同時に、登録手続を行わなければならない。しかしながら、当時に青田売り取引を即時申告の規制対象にしていなかった。

 今回の改正では、〈平均地権条例〉第47の3条第1項及び第2項を増訂した。すなわち、自ら「預售屋」を販売する場合、販売する前に物件の敷地、マンションの名前、販売地、販売期間、戸数(棟数)及び預售屋定型契約書を書面で主務官庁に届出なければならない。それに、売買契約を締結した日から30日以内に主務官庁に対し取引情報を申告・登録しなければならない。物件の販売を代理販売業者に依頼する場合、改正後の〈不動産經紀業條例〉 第24条の1第2項規定によれば、代理販売業者は代理販売契約が締結され、変更されもしくは終止された日から30日以内に、代理販売契約と関連書類を主務官庁に届出、売買契約を締結した日から30日以内に主務官庁に対し取引情報を申告・登録しなければならない。

4、紅単(予約注文書)管理制度の新設

 「紅単」とは、「預售屋」の売買契約を締結する前の予約注文を証明する文書である(この予約注文書は通常赤い紙で印刷されるため、俗に「紅單」(赤い紙)という)。「預售屋」の買い手は予約金を支払って予約注文書を取得し、その予約注文書を転売することは「紅単取引」である。今回の改正において、〈平均地権条例〉第47条の3第5項を増訂した:「預售屋の販売又は不動産仲買業に依頼し代理販売する者は、買い手に予約金、又は似たような名目の金員を受け取る場合、書面をもって売買標的物及び代金等事項を確立しなければならない。また、販売の保留、売買契約を締結する権利の保留、又はその他の買い手に不利益の事項を約定してはならない。」、同条第6項規定では、「前項の書面は、第三者に転売してはならない。」と規定している。青田売りの予約注文書を管理する規制を取り入れ、「紅単取引」を禁止する。その規定に違反する場合、NT$15万元以上NT$ 100万元以下の過料に処する。