内容証明郵便を郵送したが受領期間が過ぎて戻される時、送達の効力を生じるか否かについて、今まで裁判所の見解が分かれている。肯定意見は、受領通知書が相手方の支配範囲に置かれると、その送達の効力が生じることが認められる(最高裁判所105年度台抗字第174号民事決定)。その一方、反対意見は、書留郵便の受領通知書(不在連絡票)とは、郵便局へ行き郵便物を受け取ることを相手方に通知しただけであり、相手方が実際に郵便を受け取るまでに、受領通知書から当該郵便の内容を知ることができないので、送達の効力が生じることが認められない(最高裁100年度台抗字第722号民事決定)。前掲の争点について、最高裁判所109年度台上大字第908号民事決定では統一の見解を示された。その判旨について、下記の通り整理する。
1. 非対話式の意思表示に対して、台湾では到達主義を採用している(民法第95条第1項前半)。すなわち、非対話式の意思表示が相手方の実力支配の範囲に入り、かつ社会通念上で相手方の了解が期待される状態であれば、その意思表示は相手方に対し効力が生じるとされる。
2. 書留郵便の受領通知書(不在連絡票)は、意思表示の郵便自身を表現するものではないものの、社会通念に照らし、その受領通知書が相手方の住居所もしくは営業所に置かれると、相手方がそれを見て郵便局へ行き郵便を受け取ることが期待されている。そのため、その郵便は相手方の支配範囲に入り、意思を表示した者の意思表示が到達し効力を生じることになるので、相手方が実際に郵便を受け取ることは必要なく、当該郵便がその後期間過ぎで戻されることと関係ないのである。この目的は、相手方が任意行為をもって非対話式の意思表示の効力が生じる時点を支配することを避けるためである。
3. ただし、相手方は書留郵便の発動者でないため、その受領通知書を受け取ったときに、郵便を受け取れない客観的で正当な理由が証明できれば、この限りではない。
最高裁判所109年度台上大字第908号民事決定の判旨によると、今後受領通知書を受け取るとき、客観的に郵便を受け取ることができない正当な理由を除き、その意思表示として内容証明郵便が送達されると、受取人に対しその法的効力は生じるので、自分の権利が損害されることを避けるため、速やかに郵便局へ行き郵便を受け取った方がよいと考える。