公開発行会社が重要な契約を締結したが、特別な事情があるため、契約の効力発生がまだ確定されていない場合であっても、会社は、契約締結の事実が発生した後2日以内に当該重要な事項を公告・申告しないと、証券取引法の規定に合致しない。
一、 法的根拠
1. 証券取引法第36条第3項第2号では、公開発行会社に「株主の権益又は証券価格に対し重大な影響のある事項」が発生する場合、「事実が発生した後2日以内に公告し、主務官庁に申告しなければならない」と規定されている。また、証券取引法施行細則第7条の「重大情報の種類」に関する規定によると、会社に「重要覚書、戦略提携、その他業務提携計画、重要契約」等事項の締結、変更、終了、解除がある場合、当該情報は証券取引法第36条第3項第2号で定めている公告・申告すべきな事項に該当する。上掲の規定に違反する場合、主務官庁は証券取引法第178条第1項第4号に従い、24万元以上480万元以下の過料に処することができるとともに、回数に応じ処罰することができる。
2. 上掲の規定のほか、〈台湾証券取引所股份有限公司の有価証券上場企業の重大情報に対する検証・公開処理手続き〉第4条では、別途で51種類の上場企業の重大情報を定められている。ただしこれは、各企業が契約関係に基づき証券取引所と締結した約定であり、違反した場合、契約違反に関する違約金の支払いにかかわるが、証券取引法上の行政責任とは関係がない。
二、 事例1:会社の代表者が契約に捺印・署名したが、当該契約はある事情のため、その効力が発生していない。この場合、いつ申告するか。
仮に会社の代表者が取引の相手方と重要な契約(例えば、契約金額が会社の資産に対し相当な割合を占める場合)を締結したが、締結前に董事会で決議を得ておらず、取引の相手方もこのことを知っている、又は当該契約に効力発生の条件が付いているため、締結後に効力発生が直ちに確定できない。上記の状況では、契約の効力発生は未定だが、企業は「事実が発生した後2日以内に」公告・申告しないと、証券取引法に違反することになる。また説明すべき点は、上記の「2日以内に公告・申告」とは、証券取引法の規定であり、〈台湾証券取引所股份有限公司の有価証券上場企業の重大情報に対する検証・公開処理手続き〉第6条では、より短い申告時効を別に定めている。これは、特別に違約しないように注意する必要がある。
三、 事例2:効力は未定の場合、重要契約を如何に申告するか。
企業が締結した重要契約は、特別な事情があるため締結日から効力が発生しないかもしれない。しかしながら、投資者に対等的に情報を取得させ、投資判断にするため、当該契約締結の事実が発生した後、期限内に公告・申告しなければならない。また、申告の内容について、「本契約はまだ董事会の決議に追認されていない」等の説明を付け加えた方がよい。最終的に当該重要契約の終了、効力が発生しない等の変動が確定された後、再び公告・申告する必要がある。
四、 関連事例は、次の判決を参考されたい。
台北高等行政裁判所108年度訴字第1264号判決
最高行政裁判所109年度上字第941号判決