2024年7月31日、マネーロンダリング防止法が全面的に改正された。同法第6条は、マネロン防止に関する金融活動作業部会(以下、FATFという)の勧告、その勧告に対するコメントおよび評価手法の技術的適合性評価などを参考し、暗号資産サービス業者(事業者と職員を含む)にマネロン防止登録を新たに義務付けた。海外に設立された業者はマネロン防止登録に加えて、会社設立登録も申請する必要があり、そうでなければ、台湾でサービスを提供し始めることができない。関連登録が未完全でサービスを提供した場合、刑事処罰に処されることになる 。
また、用語および規範範囲をFATFと一致させるために、今回の改正では、「仮想通貨」を「暗号資産」に言い換え、代替不可能トークン(Non-Fungible Token,NFT)も暗号資産サービスの規範に適用されるものとする 。
2024年11月26日、金融監督管理委員会は暗号資産サービス業者に対し、「暗号資産サービスを提供する業者・職員のマネロン防止登録弁法」(以下、「登録弁法」という)を公表し、「暗号資産サービスを提供する業者・職員のマネロン防止およびテロ資金供与防止弁法」(以下、「マネロン・テロ資金供与防止弁法」という)を改正した。この2つの法律は共に同年11月30日に施行され、そのポイントは次のとおりである。
一、暗号資産サービスを提供する事業者・職員マネロン防止登録弁法
登録弁法第3条では、暗号資産サービス業者がその経営する業務の種類にしたがって登録を行うものとし、暗号資産交換業者と取引プラットフォーム、移転業者、保管業者、販売業者を含んだ各サービス業者は、登録弁法第5条に定められている書類と手続きに従い、マネロン防止登録を申請するものとする。登録弁法では、異なる暗号資産サービス業者につき、それぞれの管理方式を規範している。
FATF第15項勧告のコメント第3点を参考し、登録弁法第4条では、犯罪者がサービス業者の実質受益者や管理階層になることを避けるために、暗号資産サービス業者の責任者と実質受益者の資格を定めている。
暗号資産サービス業者は、業務上の必要に応じて取引にかかわった法定通貨の受払を行い、お客様の同意を得て、当該通貨を業者の金融機関の特別預金口座に保管することができる。また、サービス業者は、お客様が保有する法定通貨を信託に引き渡すか銀行から完全な履行保証を得て、自社の資産と顧客の資産を分離して保管しなければならない。
二、暗号資産サービスを提供する業者・職員のマネロン防止およびテロ資金供与防止弁法
今回マネロン・テロ資金供与防止弁法(原「仮想通貨プラットフォームおよび取引業務事業マネロン防止およびテロ資金供与防止弁法」)の改正では、ポイントが3つある。
(一)本来、マネロン・テロ資金供与防止弁法第14条では、2年ごとにリスク評価報告書を作成し、金融監督管理委員会の要請があった場合のみ提出することとしていた。今回の改正では、より円滑な監督と管理を図るために、リスク評価報告書を「毎年」作成するものと改正し、翌年3月末までに金融監督管理委員会に書面で提出しなければならない。
(二)FATFの暗号資産および暗号資産サービス業者のリスク基礎方法更新手引きを参考し、マネロン・テロ資金供与防止弁法第15条第5項では、充分で適任したコンプライアンス職員を配属することを暗号資産サービス業者に義務付けている。
(三)登録制度の立ち上げに合わせて、暗号資産はマネロン防止法令の順守届出が不要となり、第17条の法令順守届出の規定が削除された。