2022年4月15日、立法院は著作権法、商標法、特許法の改正を第三読会で可決した。その目的は、現行の知的財産に関する条項が「環太平洋パートナーシップ協定に関する包括的および先進的な協定(CPTPP)」の規定に更に合致させ、台湾の加入申請に利点を増やすためである。主な改正内容は、以下の通り整理した。
著作権法:
1. インターネット技術が発展するつれ、近時著作権の権利侵害事例が著しく変わっており、違法ダウンロードは主な案件タイプになり、その一方で、海賊版の光ディスクの大量複製・販売は少なくなっている。また、国際の立法例を参考し、海賊版の光ディスクに対し特殊な規定を定めていないため、現行の著作権法第91条第3項を削除し、光ディスクによる権利侵害を現行の著作権法第91条第2項の一般規定に適用させ、特別に規定しないようになった。
2. CPTPP第18.77条によると、加盟国は、権利者が市場のその著作を利用したことにより重大な影響を受けた権利侵害に対し、主務官庁に対し、職権をもって法的措置をとり、直接に捜査起訴できる権限を与えるものとしている。そのため、現行の著作権法第100条を改正し、本来親告罪であった次の2つの犯罪を非親告罪に改正した。それは、現行著作権法第91条第2項:「販売又は貸与の意図をもって、無断で複製の方法により他人の著作財産権を侵害すること」及び現行著作権法第91条の1第2項:「著作財産権を侵害した複製物であることを知りながら、これも頒布し、又は頒布の目的として公開展示又は所持すること」等の2つの犯罪である。
商標法
商標法:
1. CPTPP第18.74条によると、商標に関する民事の権利侵害責任について、明らかに知っている、又は知り得る行為の場合、損害賠償責任を負うことになる。知り得る行為というのは、間接故意及び認識している過失を含めるべきである。そのため、現行商標法第70条第3号の「知りながら」という文言を削除し、一般的な民事の権利侵害に帰し、故意過失を主観的の帰責条件とした。
2. CPTPP第18.77条第3項規定では、商業規模を有するものを同じく、又は商標の区別がつかないラベル又は包装を偽造し、他人が登録した商標と同一商品又は役務に使った場合、刑事罰を定めるものとしており、その刑事罰は、故意に限られる。そのため、商標法第95条第2項を増訂し、「登録商標又は団体商標と同一商品又は役務を自分又は他人に使わせるために、商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、販売の目的として、登録商標又は団体商標と同じ又は近似のラベル、下げ札、包装容器又は役務に関連する物品を製造、販売、所持、展示、輸出入をする場合」を商標法の犯罪タイプの1つに挙げた。
特許法
專利法:
1. CPTPP第18.53条に合致するため、特許法第60条の1第1項を増訂した。その内容は、次の通りである:「薬品許可証の申請者が新規薬品許可証所有者の許可された新規薬品の特許権につき、薬事法第48条の9第4号により申し立てた場合、特許権者は通知を受けた後、第96条第1項により、侵害の排除若しくは防止を請求することができる。」これにより薬事法が2019年8月20日に施行した「パテントリンケージ(特許連携)」に関する法規範を完備させ、新規薬品の特許権者がジェネリック医薬品メーカーを起訴する根拠を明確に定めたことである。
2. ジェネリック医薬品メーカーの権利にも配慮するため、特許法第60条の1第2項を増訂した:「特許権者が薬事法第48条の13第1項に定められている期間内に前項の申請者に対し訴訟を提起しなかった場合、当該申請者は、その申請した薬品許可証の薬品が当該特許権の侵害有無につき、確認の訴えを提起することができる。」。ジェネリック医薬品メーカーは、新規薬品の特許権者が規定期間内に権利侵害の訴訟を提起しなかったとき、特許の権利侵害に該当するか否かにつき、確認の訴訟を提起することにより、後発医薬品が市場に出てから権利侵害に訴えられるリスクを防止することである。
上掲の改正は2022年5月4日に総統によって公布され、具体的な施行期日は行政院に定められる。