2022年5月24日、立法院は第三読会にて企業M&A法の一部条項の改正草案を可決した。海外の立法事例に関する改正動向及び各界が企業M&Aの柔軟性と効率性の向上に対するアドバイスに鑑み、今回の改正につながったのである。今回企業M&A法の改正ポイントは、次の通りである。
1. 株主権利の保障を強化
株主権利の保障を強化するため、改正法では、企業が株主総会の会議通知において、取締役のM&Aの利害関係の重要な内容及びM&A賛成・反対の理由につき明記しなければならないと規定されている。(改正法第5条第4項、第5条の1)
M&Aを反対する株主に対し、書面もしくは口頭で異議を示し記録された場合、議決権を放棄する、又は投票して反対する意を示す株主は、株式の買戻しを会社に請求することができる。改正法は、株式の買戻し請求権の適用を拡大した。(改正法第12条第1項)
2. 非対称M&Aの適用範囲を広げる
日本の会社法での簡易合併に関する規範を参考し、非対称M&Aにおいて、「存続会社が支払う株式はその発行済み株式の20%を超えない」、又は「存続会社が支払う株式、現金及びその他資産の対価の総額は、存続会社の純資産額の20%を超えない」場合、取締役会が議決してから吸収合併を行うことができ、株主総会を招集しなくてもよい。(改正法第18、29、36条)
3. 無形資産の認定項目を拡大することにより、関連租税措置が一層柔軟になる
デジタル経済時代において、無形資産が益々重要視される。そのため、現行の所得税法第60条で規定された項目(営業権、商標権、著作権、特許権及び意匠・実用新案権等)のほか、改正法において、無形資産の認定範囲を拡大し、集積回路の回路配置利用権、営業秘密及びコンピューターソフト等のキーテクノロジーが盛り込まれる。(改正法第40条の1第2項)
前述の吸収合併により取得する無形資産(認識性のある、会社が支配できる、将来経済利益があり金額も算出できるもの)に対し、改正法は、均等に配分し償却する計算基準を10年に延ばした。これにより、企業は税金負担の見積もりをよりしやすくなる。(改正法第40条の1第1項、第3項)