2009年、シラヤ族は平地原住民として登録を申請したが、行政院原住民族委員会(以下「原民会」という)に拒否された。この事件は行政裁判所に入り、更一審の時、裁判官は、原住民身分法(以下「原民法」という)第2条が憲法の平等原則に合致しないと認め、憲法解釈を申立てた。2022年10月28日、憲法法廷は、111年憲判字第17号判決を下し、原民法第2条で定められている原住民の定義が憲法違反であると認定し、判決が公布された日から3年内に改正しなければならないと判示した。
現行の原住民身分法第2条では、原住民は山地原住民と平地原住民に分けられている。平地原住民とは、「台湾光復前に、平地の行政区域内に戸籍を置き、戸籍調査簿に本人もしくはその直系尊属が原住民であると記載されており、戸籍所在地の市町村役所に平地原住民として登記している者」と定義している。しかしながら、シラヤ族が提出した申立の根拠は日本統治時代の戸籍登記資料であり、シラヤ族は台湾省政府が許可した登記期間において平地原住民として登記しなかったため、原民会は原民法第2条第2号規定に合致しないことを理由として、その申請を拒否した。
原民法第2条第2号の規定は、その民族の言語、慣習、伝統等の文化特徴が今までに存続し、そのメンバーが民族集団への帰属意識を維持しており、客観的な歴史記録のあるその他台湾オーストロネシア語族含まれない。このことは、憲法第22条でいう原住民(族)の身分承認権、憲法増訂条項第10条第11項及び第12項前半でいう原住民族文化の保障等の趣旨と異なると憲法法廷に認められた。したがって、台湾のすべてのオーストロネシア語族は上掲の要件を満たせば、原住民族として登録することを申請し、その族の人々は法に従い、原住民の身分を取得することができる。
憲法法廷は、所轄官庁原民会である原民会に対し、3年内に原民法を改正する、又は別途に他の特別法を定めることを要求した。他の台湾の原住民族の認定要件の明文化、期限までに法改正もしくは立法を行われない場合、その他の民族は憲法判決に基づき、原民会に原住民族の認定を申請することができる。