近時労働関連法令には次のような改正があるので、労使関係の調和を維持する、並びに関連紛争及び責任を避けるために、企業は注意する必要があると考えます。
1. 「工会法」、使用者の不当労働行為に対する過料等を引き上げた
労働者の集団的労働権、即ち団結や団体交渉、争議権等の行使を保障するために、「工会法」(日本の「労働組合法」に相当する)第35条には、使用者は上掲権利の行使により労働者に対し不利な待遇や不当な影響、労働組合の妨害等をしてはならないと明文に禁止している。仮に違反があり、裁決により不当労働行為に当たると認定された場合、又は裁決決定書に定められた期限までに一定な行為をなしていない、もしくはなさらない場合、「工会法」第45条に従い、中央主務機関である労働部により使用者に過料を科すことになる。
2022年11月15日、立法院は、使用者による不当労働行為がしばしば発生することに鑑みると、第三読会にて「工会法」改正案第45条を可決した。この改正案では、使用者が不当労働行為をさせる違法状況を一段と抑制するために改正されたので、企業は注意する必要がある。。
(1) 使用者が労働組合法第35条第1項に違反し、不当労働行為になる場合は、本来新台湾ドル3万元から15万元までの過料を科すことであるのを10万元から50万元まで引き上げた。
過料のほか、「名誉を影響する処分」を新たに取り入れ、違法した使用者の名称、代表者氏名、処分期日、違反した条項及び過料金額を公布するのである。
(2) また、使用者が決定に従わず期限内に義務を履行する、もしくは履行しない場合の過料金額も、引き上げるように改正された。本来6万元から30万元であったが、20万元から100万元までに引き上げた。
2. 労働部、「団体協約の協調会議注意事項」公表
労働部(その前身は行政院労働者委員会であった)は、既に「団体協約締結に関する参考手引」を作成し、労使双方が団体交渉を行い団体協約を締結する時の参考としていた。労使双方は共に信義に従い誠実に団体交渉を行う義務を負っており(団体協約法第6条)、これに違反した場合、不当労働行為にも該当する。そして時間が過ぎて一定な数量の事例を蓄積したので、労働部は関連裁決、判決と行政機関の見解を集め、「団体協約法における信義誠実に交渉する義務に関する参考手引」を作成し、労使双方の信義則に違反した交渉行為を防止する。
2022年11月18日、労働部は、今まで実務上において労使双方が団体交渉を行う時によくあった紛争を斟酌し、「団体協約の協調会議注意事項」(労働関2字第1110139825号通達)を公表し、団体協約の交渉手続とその注意事項につき、次のような関連原則と枠組みを規範した。1.最初の交渉資格の確認。2.交渉代表者の選任。3.交渉会議の準備と手続きに関する規定。4.注意事項とアドバイス等。
企業は、労働組合との団体交渉を順調に進め、信義則を違反した不当労働行為にならないために、労働部が定めた上掲注意事項と関連手引きを参考することをアドバイスする。