最高裁判所112年度台上字第1512号民事判決から見た 閉鎖的株式会社の株式譲渡制限

2024-04-16

普通の会社は株式を自由に譲渡できることが一般的であるが、公開会社でない株式会社(以下「閉鎖的株式会社」という)につき、その閉鎖性を維持するため、会社法第356条第1項に次のように規定している。「閉鎖的株式会社とは、株主の人数が50 名以下で、定款に株式譲渡の制限を定めている公開会社でない株式会社を指

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普通の会社は株式を自由に譲渡できることが一般的であるが、公開会社でない株式会社(以下「閉鎖的株式会社」という)につき、その閉鎖性を維持するため、会社法第356条第1項に次のように規定している。「閉鎖的株式会社とは、株主の人数が50 名以下で、定款に株式譲渡の制限を定めている公開会社でない株式会社を指す。」閉鎖的株式会社は、定款に株式譲渡の制限を明記しなければならない。ということは、閉鎖的株式会社は株式の譲渡を制限する方法として、同条件での優先取得に関する「同意条項」や「先買条項」を定款に定めることができ、株主が定款に定められた株式譲渡制限に違反した場合、その譲渡は原則的に無効となる。

簡単に言えば、同族企業の経営者が閉鎖的株式会社を利用しファミリービジネスを承継させる時、定款に「同意条項」若しくは「先買条項」という譲渡制限を明記することを通して、経営に興味ない家族の次世代が承継によって取得した株式を売り出してしまい、一族でない者がファミリービジネスの持ち株の枠組みに入ることを防止できる。また、株主が承継により閉鎖的株式会社の株主でない者に株式を譲渡し、閉鎖的株式会社の閉鎖的性質を影響することを防止するために、株主に承継が発生する場合、当該株主の株式を如何に譲渡するかについて定款にも定められている。

株主が承継した場合の株式譲渡に関する定款の条項は、民法の相続に関する規定に違反するかどうかについて、最高裁判所112年度台上字第1512号民事判決では次のように判示している:「…なお、2015年7月1日付け改正・公布された会社法には、閉鎖的株式会社に関する規定を増訂した。閉鎖会社はその閉鎖性を維持するために、株式の譲渡が制限されることを最大の特徴とすることに基づき、第356条の5第1項規定により、会社株式の譲渡制限は定款に明記しなければならない。したがって、閉鎖的株式会社の定款が株式譲渡について制限することは、強制規定や公序良俗に反していなければ、その有効性を認めるべきである。滄社は閉鎖会社であり、2018年2月26日に臨時株主総会を招集し、定款に第7条の1を増訂した。自社の株主が死亡し承継か遺贈が発生する場合、特別株の株主全体の同意により、ある株主を指定し時価で当該死亡株主の株式を購入することができる。上掲説明によれば、当該株式譲渡の制限は、その閉鎖性を維持するためであり、会社法の関連規定に合致し、公序良俗に反していないことが認められるため、有効である。」これにより、閉鎖会社が定款にて「株主が死亡し承継か遺贈が発生する場合、特別株の株主全体の同意により、ある株主を指定し時価で当該死亡株主の株式を購入することができる」ことを約定する株式譲渡制限条項は、その閉鎖性を維持するためであり、会社法の関連規定に合致しており、有効な譲渡制限条項であると認められた。