経済部が公告した「現存企業登録統計」によれば、2022年12月まで、台湾における有限会社の登録社数は564,002社であり、全ての登録社数の75%を占めている。これによって、台湾の商業経営において、有限会社がどれだけの重要性があるかは分かる。しかしながら、企業を経営し富を積み上げていくと同時に、取締役の業務執行を如何に監督することは、コーポレートガバナンスにおける重要な課題である。
台湾の会社法において、有限会社の組織には株式会社のような監察役を設けていない。会社法第109条により、有限会社の監察権は、取締役を務めていなく業務を執行していない株主に専属するものである。そういう株主は、いつでも業務を執行している取締役に自社の運営状況を訊ね、財産書類や帳簿、台帳を閲覧することができる。
書類を閲覧する範囲や方法について、最高裁111年度台上字第2602号判決趣旨によれば、次のように判示している。「会社法第109条と同法第48条を準用する規定によれば、有限会社において業務を執行していない株主は、いつでも業務を執行している取締役に自社の運営状況を訊ね、財産書類や帳簿、台帳を閲覧することができるとしている。この条項の立法趣旨は、業務を執行していない株主が経営に参与していないので、自社の運営状況を把握し自分の株主権利を守り、取締役が会社を任意に操縦することを避けるために、会社の財産書類や帳簿、台帳を閲覧させるのである。よって、上掲規定でいう閲覧は、拡大に解釈すべきであり、確認や閲覧のほか、業務を執行していない株主が自社運営を把握する、並びに監督する目的を達成できる方法であれば(財産書類や帳簿、台帳の交付請求及び当該書類の複写等)、全部含まれている。」業務を執行していない株主は、有限会社の株主権利を守るために、財産書類や帳簿、台帳等を確認・閲覧することができるほか、財産書類や帳簿、台帳の交付や複写を請求することができる。
また、有限会社に業務を執行していない株主の監察権行使を回避する、又は防止する、拒否することがあれば、会社法第109条第3項に従い、企業を代表する取締役は主務官庁に新台湾ドル2万元以上10万元以下の過料に処される可能性がある。そのため、業務を執行していない株主が会社法第109条の監察権を行使するとき、企業は慎重に対応すべきである。