使用者が労働基準法第11条、第13条の但し書に従い、労働者が同法第14条第1項規定に従い労働契約を解約する場合、使用者は労働者の勤続年数によって予告期間義務を遵守し、解雇予告手当を給付しなければならない。労働契約が労働基準法第12条第1項に従い解約させられた場合、使用者は前掲の規定を遵守しなくてもよいである。仮に労働基準法第14条第1項で示されている状況がなく、労働者が一方的に労働契約を終了させた、又は労働者が使用者と合意し労働契約を解約したのであれば、使用者は予告期間の義務を遵守し、解雇予告手当を給付すべきか、ここで疑問が生じる。
労働基準法第14条第1項でいう状況がなく、労働者が労働契約を一方的に解約、又は使用者と合意し労働契約を解約する場合、使用者は予告期間義務を遵守し解雇予告手当を給付すべきかについて、台湾高等裁判所台中支部111年度労上易字第39号民事確定判決では、次のように判示している。「…労働者が労働基準法第16、17条に従い、予告期間の賃金と解雇予告手当を請求することは、使用者の契約終了を前提としている。そのため、労働者による契約終了、若しくは合意による解約には、適用しない。また、労働者が一方的に退職、若しくは合意による解約の場合、使用者は予告期間を遵守する義務がない。また、同法第14条第1項でいう状況がなく、労働者が一方的に契約終了、若しくは合意による解約であるが解雇予告手当の支給協議がない場合、労働者も解雇予告手当を請求する権利がない。…」
上掲の最新の実務見解によれば、労働基準法第14条第1項でいう状況がなく、労働者が労働契約を一方的に解約する場合、使用者は同法第16条、第17条の予告期間義務及び解雇予告手当給付に関する規定に束縛されない。労働者が使用者と合意して労働契約を解約し、かつ関連協議がない場合も、同様である。ただし、労働者が使用者と合意して労働契約を解約し、関連協議がある場合、使用者は協議に従い予告期間義務を遵守し、若しくは解雇予告手当を給付しなければならない。この疑問につき、今後まだ実務見解の発展を観察する必要があるが、会社は会社と労働者の権益を確実に配慮するため、労働者が退職する時、特別に注意し、慎重に対応したい。