2023年12月19日、〈家屋税改正条例〉(俗にいう「非自己用住宅税」のバージョンアップ)は立法院の第三読会にて可決され、2024年7月1日から施行される予定である。旧法令に比べれば、改正法には異なる規範が多く存在しており、新たに改正された家屋税条例第5条における非自己用住宅税の変革について、次のとおり紹介する。
一、非自己用住宅税に関する立法と法改正の目的
非自己用住宅税とは、政府が家屋税を徴収する時、「自己の居住の用に供する住宅以外に一定な数量の不動産を所有している者」に対して設けた特別税率である。このような特別税率を設けた目的は、自家用住宅とそうでない家屋を区別する前提において両者の税率を区別させ、個人が多くの住宅を所有する現象を抑制し、国民の自己用住宅に関する権利を保護するためである。今回の法改正もこの前提において、新たに改正された法律を通して1軒しか所有していない(唯一)自己用住宅の税金を軽減し、住宅の有効利用の促進、家屋税負担の適正化という目的を達成することが期待される。
二、新旧法規制の比較
今回の法改正のポイントは、大きく次の3つの部分に分けられる。
(一)最低税率及び最高税率の調整
旧制:下限は住宅の実勢価格の1.5%を下回ってはならず、上限は3.6%を超えてはならない。
新制:下限は住宅の実勢価格の2%を下回ってはならず、上限は4.8%を超えてはならない。
(二)非自己用住宅税に「累進税率」を導入することを地方自治体に強制する
旧制:地方自治体は地域の実状に応じて、差額税率を導入するかどうかを決めることが「できる」。
新制:納税義務者が国内に所有する全ての課税住宅の軒数若しくはその他の合理的な需要に応じて、地方自治体は差額税率を設定「するべきである」。
家屋税の徴収は、家屋税条例第6条及び第24条により各地方自治体に授権され、国の条例に抵触しない範囲において都市ごとに自治条例を定め、その規定に従って処理することとされている。非自己用住宅税に関する規定も前述の自治条例に含まれており、各地方自治体が自ら定める。
旧制の自由決定に対し、新制において、各地方自治体は非自己用住宅税に累進税率の導入を強制される(非自己用住宅を多く所有すれば所有するほど、税率が高くなる)。各地方自治体に参考させる基準として、2024年2月16日、財政部は「全国唯一自己用住宅の実勢価格一定金額基準と家屋税差額税率の段階、段階数及び各段階税率基準」草案の作成を予告した。
(三)全国範囲で税率を判断する
旧制:地域範囲で計算する
新制:全国範囲で計算する
全国範囲で税率を判断することになれば、住宅を多く所有しようとする者に大きな影響をもたらすことになる。本来採用されていた制度は、当該地域において非自己用住宅が何軒あるかを考慮し住宅数と累進税率を計算するだけで済んだが、改正後、全国において非自己用住宅が何軒あるかにより実際の税率を判断すべきである。
分かりやすく理解させるために、上掲の制度の変更を下表のとおりに整理した。
三、結論
非自己用住宅税バージョンアップの施行は、個人の納付すべき税金が増減する問題だけではなく、制度変更により住宅取引価格や家賃価格が変動するかどうか、あるいは台湾における投資者の投資戦略に変化を引き起こすかどうかは、実施されてから分かる。今できる準備は、法律の変化を正確に理解し、自分の権利・義務が影響されるかどうかを確認することである。前もって準備しよく把握することにより、自分の権利が損害されることを確実に防止することができる。
[1] 詳しくは立法院HPの重要可決方案を参照
[2] 詳しくは財政部公告を参照:「全国唯一自己用住宅の実勢価格一定金額基準と家屋税差額税率の段階、段階数及び各段階税率基準」草案の予告