今日グローバル化した金融システムにおいて、マネーロンダリングは各国政府が懸念する焦点の1つになっている。借名口座に対する管理・監督と取締を強化するために、台湾の《マネロン防止法》を始め、多くの国は関連条項や規制を制定している。近時、法務部と金融監督管理委員会、デジタル発展部は《マネロン防止法第15条の2第6項の口座・アカウントの利用停止、機能制限若しくは凍結に関する管理弁法》を公布し、2024年3月1日から発効することになった。
一、 内容紹介
〈マネロン防止法第15条の2第6項の口座・アカウントの利用停止、機能制限若しくは凍結に関する管理弁法〉(以下「管理弁法」という)は、〈マネロン防止法〉の第15条の2第6項に基づき制定された具体的な管理方法であり、その内容を次のとおり大まかに紹介する。
(一)制限される行為者
管理弁法第2条により、本弁法が制限しようとする者は、自分か他人が金融機関に開設申請した口座、暗号資産プラットフォーム及び取引事業若しくは第三者決済サービス業に申請したアカウントを他人に提供し使用させ、警告処分を受けた者(以下「行為者」という)である。
(二)制限を順守すべき機構、制限方法と制限期限
1. 制限を順守すべき機構
金融機関、暗号資産プラットフォーム、第三者決済サービス業
應配合限制之機構:
2. 制限方法
(1)口座やアカウントの機能に対し、利用停止、機能制限若しくは凍結する
① 金融機関
毎日の振込・引出金額の上限はそれぞれ1万元である。インターネットバンキングの使用を禁止する。銀行の店頭での取引を拒否することができる。並びに〈預金口座及びその違法・異常の疑いのある取引に関する管理弁法〉、〈金融機関マネロン防止弁法〉等の現行条項により、新規口座開設の可否を判断するなどがある(管理弁法第5、6条)。
② 暗号資産プラットフォーム
アカウントの保有資産が清算された後直接にロックされ、行為人の新規アカウント開設を拒否しなければならない。(管理弁法第7条)
③ 第三者決済サービス業
仮想口座のサービスを使用させないほか、所有する口座も次のように制限される。
行為人は同一業者において、口座を1つしか開設できない。自然人は同一業者において、1つの法人しか代表することができない。出金する日にちは、取引請求日から起算して20日間を下回ることができない。毎日の入金金額は、2万元を上限とする。毎月の累計入金金額は、20万元を上限とする。また、同一業者において複数の口座を開設した場合、第三者決済サービス業者は速やかに当該口座を清算した後、直接にロックしなければならない。(管理弁法第8条)
(2) 審査措置の強化
① 行為人を高リスクのクライアントと見なし、クライアントの身元確認を強化するとともに、審査措置を継続しなければならない。
② マネーロンダリングの疑いのあることやその他の違法取引を発見するとき、取り調べる期間内において、対象口座・アカウントの一部か全部の機能を利用停止することができる。(管理弁法第9条)
3. 制限期限
行為人が警告を受けた日から5年間である。ただし、この期間内において、行為人が再び正当な理由なく自分か他人の口座・アカウントを他人に使用させれば、制限される期限は、期間が満了する日の翌日からもう一回5年間を加算することになる。(管理弁法第4条)
二、行為人の救済方法
仮に金融機関、暗号資産プラットフォーム、第三者決済サービス業が管理弁法により行為人の口座やアカウントに対して制限した場合、行為人の救済方法は、直轄市や県(市)自治体の警察機関から受けた警告に対し行政救済手続きを行うことである。行政機関がその警告処分を取り消せば、行為人は当該処分が取り消されたことを理由に、対象口座やアカウントが受けた制限を解除するのを主張することができる。
行為人の口座がすでに他の法律により差押え、保全、禁止、若しくは類似する処分を受けた場合、他の法律に従って優先的に処理するものとする。(管理弁法第10条)
三、結論
近年、政府は借名口座を取り締まる決意を示しており、借名口座を管制する目的を確実に達するために、法改正や執行面などを次第に強化するようになった。政府の努力のほか、金融機関や暗号資産プラットフォーム等の業者も関連条項の増訂を注意し、最前線で如何にマネーロンダリング防止を確実に行うことをよりよく理解しなければならない。それと同時に、国民の皆も誤って法律に違反しないないように、自分の口座を気軽に他人に渡さないように注意する必要がある。