2024年3月1日、最高裁判所大法廷が112年度大字第2号事件について決定を下し、「口頭で課した一般処分でない行政処分は、救済期間を教示しなかった場合、その法的効果は行政手続法第98条第3項規定を適用することと類推するものとする」と認めた。
本件の背景事実は、高雄市政府MRT工程局(以下相手方という)が行った「高雄環状ライトレール建設(第二期)請負工事」の調達入札にかかわっている。抗告人スペイン商社カーフ交通運輸株式会社台湾支社が、参加人の中国鋼鉄股份有限公司と共に入札した。
相手方は、2016年6月28日に資格の審査結果を発表し、口頭で資格の審査処分を下ろした。抗告人は、参加人が適格業者であるという審査処分をその場で知った。その後、相手方が落札者を選定するために選考会議を開き、参加人を最有力業者に評価し、2016年8月11日に参加人に落札したのである。抗告人は、同日に書面をもって相手方に異議を申し立てたが、相手方は当初の決議を維持したため、抗告人は2016年9月9日に高雄市政府に申訴を申し立てた。しかしながら、高雄市政府は期限内に申訴の審議判断を下さなかったため、抗告人は本件行政訴訟を提起したのである。
この案件は、最高行政裁判所の合議法廷まで抗告され(112年度抗字第27号)、口頭による一般処分でない行政処分が救済期間を教示しなかった場合、その法的効果につき議論があったため、大法廷に提案した。
大法廷は、次のように判示した。憲法第16条によれば、国は国民の救済ルートを保障するために、情報を告知する義務を果たさなければならない。政府調達法第75条第1項第3号により、業者が入札当局の審査や落札等の行政処分に不服する場合、法定の一定期間内に異議や苦情の申立を提起しなければならず、申立の審査・判断結果に依然として不服がある場合に限って、行政訴訟を提起することができる。だが、1998年政府調達法制定時には、調達過程で入札機関が課する行政処分の救済教示について、特段の規定はなかった。また、行政手続法が政府調達法の後に公布し施行されたため、行政手続法における行政処分の救済教示若しくは救済を教示しなかった場合の法的効果は、政府調達法に言及されなかった手続きに関する規定である。したがって、入札機関が課する行政処分も適用しなければならない。
それから、口頭による行政処分と書面による行政処分は、国民に対し異なる規制効力をもたらさない。口頭による行政処分は一瞬で作成され、往々にしてその理由及び法的根拠を付けておらず、書面による行政処分に比べれば、規制効力を有する行政処分であることを相手方や利害関係者に気づかれにくく、行政救済を提起するタイミングを逸しやすいのである。そのため、口頭による行政処分に対し行政手続法第95条第2項により書面作成が請求されなかった場合について、同法第96条第1項及び第98条第3項のように告知すべき救済期間及び違反するときの法的効果を明文化していないことは、法律の抜け穴というべきであり、立法者が故意に排除したではない。そのため、行政手続法第96条第1項第6号規定の適用を類推でき、原処分機関も救済期間を告知する義務がある。告知しなかった場合の法的効果は、行政手続法第98条第3項規定の適用を類推するものとする。
この見解に踏まえて、企業や業者は口頭で行政処分を受けたとき、原処分機関が救済期間を告知したか否かを特別に注意しなければならない。告知された場合、その期間内に不服を申し立てるものとする。ただし、処分機関が救済期間を告知しなかったため相手方や利害関係者に遅れを生じさせた場合、処分書が送達した1年内に不服を申し立てることは、法に合致する救済と見なす(行政手続法第98条第3項)。