特許期間延長に係る「海外臨床試験期間の終了日」の認定について

2024-09-16

医薬品、農薬品及びその製造方法の発明特許が販売許可を取得するために法的審査を受け、発明特許を実施できないことを補うため、立法側は特許法第53条において、特許権期間延長制度を特別に制定しており、特許権期間延長に関する認定方法を定めている。しかしながら、「海外臨床試験期間の終了日」を認定するとき、現行の

作者

作者

No items found.

医薬品、農薬品及びその製造方法の発明特許が販売許可を取得するために法的審査を受け、発明特許を実施できないことを補うため、立法側は特許法第53条において、特許権期間延長制度を特別に制定しており、特許権期間延長に関する認定方法を定めている。しかしながら、「海外臨床試験期間の終了日」を認定するとき、現行の特許権期間延長審査基準第3.1.3.1.1規定に基づき、すでに完成した臨床試験に対して「ICHE3定義の臨床試験完成日(最後の被験者を完成した日にち)」により終了日としているが、近年、実務において、特許権期間延長の審査基準と異なる「治験報告書完成日」を終了日とする見解を取り始めている。

近ごろ、知的財産及び商事裁判所(以下「知商裁」という)が下した112年度行専訴字第54号行政判決では、「治験報告書完成日」という見解が採用されている。知商裁はまず、近年のいくつかの最高裁判決を引用し、立法目的を満たすために「治験結果が発表された日」に基づいて判断すべきであると述べ、続いて特許権期間延長審査基準第3.1.3.1.1規定でいう「ICHE3定義の臨床試験完成日」には、臨床試験の関連データしかなく、専門家によってそのデータを分析してから臨床試験の結果が分かるので、その日は治験結果が発表される日ではない、したがって、特許権期間は、医薬品許可証を申請するための臨床試験報告書の作成に必要な期間も含めた「治験報告書完成日」まで延長すべきであると判断した。

以上をまとめれば、特許権期間延長の「海外臨床試験期間終了日」について、最高裁判所及び最高行政裁判所は、「試験結果の提示日」を基準に判断すべきであると示している。前掲の知商裁112年度行専訴字第54号行政判決のほか、知商裁は民事特許権に関する権利侵害訴訟及び特許権期間延長の行政訴訟において、「治験報告書完成日」を海外臨床試験期間の終了日とし始めた(知商裁109年度民専上更(一)字第1号民事判決、知商裁111年度行専更(一)字第3号行政判決、知商裁111年度行専更(一)字第5号行政判決を参照)。将来安定した見解になるかどうかは、引き続き注目されたい。